本当に金融機関は毎年40兆円分の国債を売り越せるのか?
政府は毎年40兆円分の国債を市場に供給するので、まず日銀はその分を全て買い取ります。
黒田バズーカ2(毎年80兆円買い切り)を継続するためには、さらに残り40兆円を金融機関に売ってもらう必要があります。
金融機関の保有量は2012年4月には783兆円もあったのに、4年後の2016年4月には583兆円まで減らしています。
この4年間で保有量を約25%も減らしたのです。
市場の流動性が毎年悪くなっていくのは明白です。金融機関は国債を永久に売り越し続けることはできないでしょう。
コップの中に入っている水の量は有限なのです。ずっと水を流し続けることはできません。いずれ空っぽになります(2031年4月には空になる)。
今は、日銀が勢い良く国債を買いまくっているので、国債が人気になって、価格が上がっています。
しかし、騙されてはいけません。永久に国債の価格が上がり続けることはありません。また、金利が下がり続けることもありません。
金融機関が国債を市場であまり売らなくなったら、どうなるのでしょうか?おそらく次のようなステップを踏むはずです。
<予想される国債の売買をめぐる価格遷移>
(Step1)日銀は市場で高い値段を提示して、国債を買い取ろうとする。
(Step2)金融機関は儲かるため、日銀に国債を売る。
(Step3)金融機関は手持ちの国債が減っているので、売りにくくなる。
(Step4)日銀はさらに市場で高い値段を提示して、国債を買い取ろうとする。
(Step5)金融機関は儲かるため、日銀に国債を売る。
(Step6)金融機関は手持ちの国債が少なくなっているため、売る量を減らす。★
(Step7)日銀は国債の買い取り量を減らす。
(Step8)だんだん国債が市場で売れなくなり、価格が下がる。
今まで国債の価格はずっと上がりっぱなしです。
現時点ではStep5の段階です。Step6に突入するのは2018年頃だと推測します。今の黒田バズーカを継続すれば、2018年頃には日銀の国債保有率が市場全体の50%に達します。
日銀以外のプレーヤー(金融機関)の手持ちの国債が減ってきて、売りにくくなることは明白です。