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まるで米国株式市場はカジノ?「バフェットからの手紙」が伝えている危機と投資の極意=栫井駿介

「勝者・敗者を予想するのは難しい」

バークシャーにおける私たちの⽬標はシンプルです。
私たちは、基本的で永続的な良好な経済性を享受している企業の全部または⼀部を所有したいと考えています。
資本主義の中で、⾮常に⻑期間繁栄するビジネスもあれば、陥没⽳に陥るビジネスもあるでしょう。
どちらが勝者でどちらが敗者になるかを予測するのは、思っているよりも難しいです。
そして、答えを知っていると⾔う⼈は、たいてい⾃⼰妄想か蛇油のセールスマンのどちらかです。

バークシャーでは、将来的に⾼い収益率で追加資本を投⼊できる稀有な企業を特に⽀持しています。
これらの企業のうちの1つだけを所有し、ただじっと座っているだけでも、ほぼ計り知れないほどの富を⽣み出すことができます。
そのような保有資産の相続⼈であっても、可能性はあります。時には⼀⽣を余暇に過ごすこともあります。

バフェットですら、勝者・敗者を予想するのは難しいと言っています。
まして、エヌビディアが本当に勝つのか、ITの世界でどこが覇権を取るのかということを予想するのはまだまだ難しいでしょう。

バフェットはこのような難しい判断が多くある中で、厳選して投資しています。

世の中で騒がれているものとは一線を画して、自分で見て、経験して、目利き力を付けて、本当に良いと思えるものを選び、良いと判断したら黙って持ち続けることで莫大な富をもたらすということです。

これは簡単なようで非常に難しいことです。
どちらが勝者になるか判断するのは難しいとしながらもそこからさらに厳選しなければなりません。
そのためには多くの企業を見て、良し悪しを判断する目利き力を身につけることが大事で、期間も短期的ではなく長期的に見る必要があります。
ただ、それができた暁には多くの富を得ることができると言っています。

 

バフェットがその投資を体現してきたのが、コカ・コーラとアメックスということになります。

CokeとAMEXはどちらも、その主⼒製品と同様に世界中で知られる名前になりました。
液体の消費と疑いのない経済的信頼の必要性は、私たちの世界にとって時代を超越した必需品です。

「時代を超越した必需品」というものがどれほどあるでしょうか。
生成AIのブームも確かにすごいもので、時代を変えるかもしれません。
ただ、10年後にそれが中心にいるかというと難しいところがあるかと思います。

 

強いて言うなれば、ITの世界で時代を超えて中心にいるのはMicrosoftではないかと思います。
生成AIのブームでも中心にいますし、パソコンも使われ続けています。
時価総額も、過去20年間もトップに君臨している稀有な企業です。

このような企業を見つけることができたのなら、あとは持ち続けるだけだとバフェットは言っています。
目を磨くということが長期投資には必要となってきます。

コカ・コーラとアメックスからの教訓?本当に素晴らしいビジネスを⾒つけたら、それを継続してください。
忍耐は報われます。
そして、1つの素晴らしいビジネスが、避けられない多くの凡庸な決定を補うことができます。

バフェットも、判断を誤ったり、買った株をすぐ売ったりもしています。
1つの素晴らしいビジネスさえ保有していれば、その1つのビジネスで最終的には大きな資産を育ててくれるということです。

これは投資に限らず企業経営にも言えると思います。
良いものを見つけたらそれを継続することがビジネスでも勝ち筋になるでしょう。

「米国市場はカジノ」の真意

巨額の資⾦と業績の確実性の両⽅で市場の掌握に即座に対応するバークシャーの能⼒は、時折⼤規模な機会を提供してくれるかもしれません。
株式市場は初期の頃に⽐べて⼤幅に拡⼤していますが、今⽇の積極的な参加者は、私が学⽣だった頃よりも精神的に安定しているわけでも、教育が進んでいるわけでもありません。
理由は何であれ、今の市場は私が若かった頃よりもはるかにカジノのような動きを⽰しています。
カジノは現在多くの家にあり、毎⽇住⼈を誘惑しています。

これは、カジノのように、上がったり下がったりが激しくなっているということを言いたいのではないかと思います。
AIやシステムトレードの影響で、上がる時は大きく上がり、逆に下がる時も大きく下がるということになります。

通信の速度とテクノロジーの驚異により、瞬時に世界中が⿇痺しやすくなり、私たちは信号機以来⻑い道のりを歩んできました。
このような瞬間的なパニックは頻繁には起こりませんが、必ず起こります。

こういう警告は、コロナショック直前の2019年のアニュアルレポートにも書かれていて、もちろんコロナショックを予見していたわけではありませんが、市場が浮ついているという感覚は持っていたのではないかと思います。

私は、バークシャーはこれまで経験したことのない規模の⾦融災害に対処できると信じています。

あくまでバークシャーは大丈夫だが、リーマン・ショックのような金融危機が起こるとも読み取れる記載になっています。

Next: バークシャー・ハサウェイのレポートから長期投資家が学べること

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