海外事業も好調
国内丸亀事業の好調と共に、実は海外事業も伸び続けた。
21年3月期から23年3月期にかけて313億円→411億円→615億円と推移しており、3年間で2倍に伸びている。海外店舗数も626→644→707と拡大した。「Marugame Udon」として展開する海外の丸亀製麺は2011年のハワイ進出がきっかけだが、現在ではインドネシア、台湾、フィリピンなど店舗数の多くがアジア圏にある。
そして海外の丸亀は日本と違い、現地化されているのが特徴だ。
最も店舗数の多いインドネシア店には日本と同じ「かけうどん」もある一方、鶏白湯やカルボナーラなどの現地化メニューも多い。天ぷらは日本と同じようなものが多く、かき揚げや海老、ちくわやさつま揚げなどがある。ただし、ご飯ものに関しては、国内がおにぎりやいなりがメインである一方、インドネシアには牛丼・鶏丼・チキンカツカレーなどもあり、うどん屋というよりも「ジャパニーズレストラン」として展開していることが分かる。さらにはカフェラテ・ホットコーヒー・ソフトクリームなどのデザート類まである。
海外店の運営方式は日本と同じセルフ式、そしてオープンキッチンだ。ちなみに海外では、うどんよりも天ぷらの方が知名度は高い。そのため店名の下には「JAPANESE NOODLES & TEMPURA」という文言がついている。
とはいえ海外事業は丸亀製麺だけではない。24年3月期第3四半期の段階で海外店は856店舗を占めるが、丸亀は257店舗だ。他にも様々な業態店を展開しており、2018年に買収した香港企業が運営する「Tam Jai」も海外事業の一角を占める。
「Tam Jai」はスパイシーヌードル(米線)業態で、同社サイトによると世界では香港189店舗を含む229店舗を運営している。22/3期に29店舗、23/3期に40店舗出店するなど出店ペースも著しい。中華圏での知名度はうどんよりも圧倒的に高く、出店の余地があるようだ。今後、「Tam Jai」が最大ブランドになるかもしれないと、別メディアの取材で同社社長は語っている。
トリドールが海外で展開するブランドは数多く、他にもシンガポール発の日本式カレー店「MONSTER CURRY」やオランダ発のアジア料理ファストフード「Wok to Walk」なども手がけている。コロナ禍では、丸亀以外の事業も拡大したことで海外事業の売上が伸びた形だ。円安の影響も大きい。
目標は5,500店舗
23年3月期から始まる6年間の中長期経営計画において、トリドールは28年3月期の店舗数5,500店舗、売上高3,000億円を目標としている。
計画の内容をざっくりまとめると、既存ブランドについては新商品展開や人材教育で商品・サービスの質を上げ、新規開拓では多ブランドで展開するといった内容が書かれている。
人材教育の例としては国内丸亀製麺における「麺職人制度」がある。丸亀製麺では全店に製麺機を置き、店内ですぐ茹でる方式だが、調理技術の向上を目的としてこの制度をとっているようだ。従業員のモチベーションアップにも貢献しているだろう。









