日本の半導体銘柄への影響は?
アメリカの株式銘柄と日本の株式銘柄の関係はどうか。
日本の半導体銘柄の動きは、エヌビディアに強く影響されているかのようなコメントがネットでは増えている。
そしてエヌビディアの株価は、半導体製造装置メーカーの「ASML」や「SMC」の株価やニュースにも影響されている。仮にエヌビディアの株価が日本の銘柄に影響するとするならば、エヌビディアの株価に影響を与える要素にも注目すべきだろう。
投資家の間でも「半導体」という業界を大きく一括りにして語られているような印象があるが、「半導体」と言っても、その種類から開発工程まで広がりがあることには留意が必要だ。
例えば、半導体のプロセスのサイズについて考えてみると、北海道で次世代半導体の国産化を目指して準備されている「ラピダス」では2nm(ナノメートル)のものを作る一方で、熊本に工場が建設された「TSMC」では22~28nmの半導体をつくる。エヌビディアのGPUに関連するのは、前者である。「半導体」と言っても、どんな種類・用途の半導体の話題なのかをしっかりと見極める必要がある。
また「ソニー」のように、特定の銘柄が半導体関連なのか否かがグレーの場合もある。
SMCと日本株の関係性を述べると、AIシステム受注開発の「データセクション<3905>」が4月12日にSMCとの業務提携を発表したことで、株価が急騰したことが目新しい。

データセクション<3905> 日足(SBI証券提供)
海外の特定の企業の動きだけを見て、日本株の銘柄の投資判断を行うのは危険だろう。しかし、SMCがサーバーとストレージを主軸とする企業である以上、同社の動きは日本の半導体関連銘柄への投資を検討するうえで、大いに参考になる材料を提供してくれる。
SMCの成長は今後も続くか?
SMCはクラウドサービス企業からの需要に加え、クラウドサービス企業が最先端の技術を実装するのを待っていられないような企業からも需要がある。
4月22日付の日経新聞にあった「ソフトバンクが生成AIのために1,500億円を投資し、GPUはエヌビディアから購入する」という報道は、これに関連するかも知れない。ポイントは、今後もこのような案件が増える可能性が高いこと。そして、SMCがこの分野で競争力を有していることだ。
需要が高まっているのは、AI向けのサーバーだけではない。従来型のサーバーやストレージの需要も高まっていると、競合会社のデルは2月29日のアナリストコールで発言している。
サーバーやストレージの需要に影響するものとして世界のデータ量があるが、世界で毎年生成されるデータ量は年率25%で成長していると考えられている。
このように、今後もAIブームの高まりやデータの増大にともなってサーバーやストレージの需要も高まっていくなか、SMCはマーケットシェアを大きくしていくことで成長していく可能性が高い。
今後、ますます高まる環境負荷への関心のなか、SMCがどこまでグリーンコンピューティングでリーダーシップを発揮できるか。注目していきたい。
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2024年5月9日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による