サラリーマンの生涯収入はあほらしいほど少ない
ユースフル労働統計によれば、大卒の男性で一般企業に入り、定年まで勤めた場合の生涯収入は、2億9,000万円程度とされています。この金額でさえ、日本の場合は年々縮小気味です。
しかし、実際には企業規模や、転職のアル・ナシなどで、大卒男性の生涯収入はさらに少なく、2億円そこそこといったケースも多いのです。
こうなると、高卒男性の生涯収入である2億6,000万円前後よりも少なかったりと、さほど変わらないような状況でもあるでしょう。
おまけに、総務省の家計調査で見ると、夫婦2人以上の勤労者世帯で、25歳〜60歳の消費支出は、ざっと1億9,000万円です。
2億9,000万円の生涯収入があったとしても、税金や社会保険料が引かれれば、実質7割の可処分所得(自由に使えるお金)となって、手取りはたったの2億300万円そこそこです。
2億300万円の手取り生涯収入から、消費支出1億9,000万円を引き算すれば、手取りはわずかに1,300万円です。
こんな状況ですから、カツカツの生活で貯蓄もしなければならないものの、その貯蓄さえ出来ないケースも多いでしょう。
かくして60歳から年金支給の65歳までの無職・無給期間を経ると、貧困老後に陥る人が続出します。
安いアルバイトで糊口をしのぐよりないのです(60歳〜65歳就業率71.5%、65歳〜69歳同50.3%、70歳〜74歳同33.5%)。
実際、各世代別の平均貯蓄額を見ても、「貯蓄ゼロ世帯」が、大体2〜3割程度占めているのが現状だからです。
ちなみに、60歳で退職金を1,500万円程度得たとしても、60歳から85歳までの消費支出は、家計調査で約8,100万円とされていますから、とうてい足りるものではありません。
たとえ年金収入(基礎年金を含む厚生年金受給額平均約14.5万円)があっても、60歳から85歳までの25年間の消費支出には、これではまだ4,350万円も不足するからです。
人生の成功は「タイミング」と「ポジショニング」が得られる「偶発性のチャンス」がある環境を選ぶことに尽きる
では、どうやって、人生の成功をつかみ、老後の安心でもある経済的な安定を得たらよいのでしょうか。
人は、人生のいくつかの場面で、「才能の目利き」に出会います。
「きみ、これを本気でやってみる気はないか?」などと言われる場面のことです。
自分の思いもよらない才能を見抜かれた瞬間といってもよいでしょう。
あるいは、「好きなこと」を、他人から高評価されて気づく場面もあるでしょう。
あなたにも、きっと過去にそうした瞬間が、何度も訪れていたのではないでしょうか。
これが、「人生の幕開け」になることが意外にも多いのです。
副業にしろ、転職にしろ、独立開業、投資にしろ、しかりなのです。
そのことで、人生が急激に好転した――という人はけっして少なくないのです。
これこそが、社畜から逃れる、成功のチャンスであり、幸福な人生幕開けの糸口をつかんだ瞬間なのです。
こうした「偶然のような幸運」が、実は世の中ではよくあることなのです。
スタンフォード大学心理学部のJ・D・クランボルツ教授たちが、1999年に発表して注目されたのが計画された偶発性という「人生を成功に導くための理論(計画的偶発性理論・PlannedHappenstanceTheory)」でした。
クランボルツ教授たちは、世の中で大成功した人たち数百人を対象に、成功の要因を徹底分析したのでした。
その結果、驚くべきことに成功者の約8割の人が、自分の成功は「予期せぬ偶然によってもたらされた」という認識だったのです。
自分に特別な能力があったからとか、頑張って努力したから――といった回答が多いことが予想されたのですが、結果はそうではなかったのです。
人生の成功は、予期せぬ偶然によって8割が形成されるのです。
ただし、その偶然をただ待つのではなく、よい偶然に巡り合えるように行動して偶然に近づき、その結果得られた偶然を活用して努力すれば大成功がもたらされる――ということに他ならないわけです。
「タイミング」と「ポジショニング」が得られる環境に身をおく重要性です。
自分に偶発性のチャンスがもたらされそうな場所をこそ、自分に提供してやらなければいけないのです。
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