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【展望】日米金融会合と英国国民投票を睨んだ「様子見相場」のポイント=馬渕治好

近づく英国国民投票に市場はどう反応するか?

英国における、EU離脱の可否を問う国民投票は、6/23(木)に実施されます。

これまでは、世論調査によって、EU残留派と離脱派のどちらが優勢かが異なっており、結果は微妙な情勢です。ただ、6/10(金)に公表されたインディペンデント紙の世論調査では、離脱派が優勢でした。

結果を受けて、市場がどう反応するか、という点ですが、もちろんEU残留という結論になった場合は、市場は好感するでしょう。

逆に、EU離脱という結果になった場合は、もちろん英ポンドやユーロ等の欧州通貨、欧州株価などについては、相当の波乱が生じるでしょう。それが米ドル相場や日米等主要国の株価にもぶれを引き起こすと懸念されます。

ただし、短期的な振れは別として、世界市場が長期的で大きな混乱に巻き込まれるとは見込んでいません。その理由をいくつか挙げると、次のようになります。

(1)今年2月頃の、離脱論の台頭時に、市場は離脱の可能性を相当に織り込んでしまっている。たとえば英ポンド相場は、2月下旬に、対米ドルでは1ポンド1.39米ドルを割れたところで、底値を付けた様相だ。国民投票で離脱が決定し、再度1.40米ドル水準を割り込んだとしても、大きく下回り続ける可能性は薄いと見込む。

(2)国民投票で離脱が決定しても、すぐに離脱するわけではない。おそらく2年程度と言われる準備期間を経て、他欧州諸国との様々な取り決めを定め、その後離脱となる。

(3)英国の離脱論の背景は、移民に対する拒否感情と、英国は金融業が基幹産業であるため、欧州大陸諸国の比較的厳しい金融業規制と歩を合わせたくない、という2点が主なものだ。したがって、英国としては、欧州大陸諸国との経済・金融面での結び付きは極力維持し、経済的なデメリットが出ないよう、準備期間における条件交渉を行なっていくだろう。

もちろん、そうした離脱後の欧州大陸諸国との交渉が、英国の好き放題にできるか、という点や、スコットランドはEU残留を希望しているため、スコットランドの英国からの離脱論が再燃する、という不安要因はあります。

しかし、英国のEU離脱が経済的な悲劇ではない、という点が知れ渡るにつれて、市場の不安も沈静化していくものと予想します。

Next: FOMC後のイエレン議長記者会見に関する“迷信”

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