8月5日の東京証券市場の取引で、日経平均株価の終値が4,451円安の31,458円となり、ブラックマンデーを超える史上最大の下げ幅を記録した。このままリーマンショックのような絶望的な状況に落ちていくのだろうか?はたまた数ヶ月後には4万円台に戻るのだろうか?暴落の要因とともに考えたい。(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)
※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2024年8月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。
歴史的な大暴落へ
8月5日の東京証券市場の取引で、日経平均株価の終値が4,451円安の31,458円となり、ブラックマンデーを超える史上最大の下げ幅を記録した。
前営業日の8月2日の取引でも、日経平均は2,216円下落している。2営業日の取引で約7,000円近く下落した。7月11日には日経平均株価は終値で4万2,224円を付けており、1ヵ月あまりで1万円以上も下落したことになる。
また8月5日の米国市場の取引でもNYダウは1,033ドル安の3万8,703ドルとなり、米国市場でも大幅下落となった。欧州やアジア各国の株式市場も大幅安となっており、世界的な株安連鎖となっている。
暴落の引き金となった4つの要因
日本の株価が暴落した要因は、以下に記載のとおりと分析している。
1. 日銀の利上げは予想されていたが、植田総裁が今後も利上げするようなアナウンスメントをしたことで、タカ派的な姿勢と受け取られたこと
2. 米国で8月2日に発表された雇用統計で非農業部門の就業者数が11万4,000人増と市場予測の17万5,000人増を下回った。失業率も4.3%となり、市場予測の4.1%より高かったことで、米国の景気後退懸念が拡大したこと
3. (1)及び(2)の要因で、ドル/円相場で円高が大きく進んだこと(7月10日に161円台を付けてから、8月5日には142円台まで急速に円高が進んだ)
4. (3)の要因により、輸出企業の業績悪化懸念が出てきたことと、外国人投資家の売りが大量に出てきたこと
個人的には米国の景気減速は予想されていたことだし(そもそもFRBはインフレを抑制させるために景気減速もやむなしという姿勢で利上げを行ってきた)、日銀の0.25%の利上げも発表前にある程度予想されており織り込んでいた。
植田総裁が今後も利上げを継続するタカ派のスタンスととられてしまうようなアナウンスメントをしてしまったのは失敗だとは思うが、これほど売られるほどの主たる要因かと言えば、筆者はそうは思わない(総裁として市場との対話は下手だとは思うが)。
要するに下落するマグマが貯まっていて、1〜4のような要因によって一気に噴出したということだと考えている。
株に下落によって投資家の疑心暗鬼が始まり、売りが売りを呼んで大暴落となったわけだ。
膨らみすぎた投資家の楽観論
そもそも筆者は近年の投資家の意識は楽観的過ぎると感じていた。
筆者はバブルの崩壊は経験していないが、ITバブル崩壊やリーマン・ショックなどの暴落は経験しているのだが、10年以上も基本的には株は右肩上がりで、40代以下の若い世代は本格的な暴落局面はほとんど経験したことがないだろう(コロナ禍による下落もすぐに回復した)。
米国ではこの若い層が株式投資を積極的に行ってきて、米国株高を下支えしてきたわけだ。
景気についてもリーマン・ショックからの回復以降は不況と言えるほどの景気後退局面は経験したことがないし、FRBがインフレ退治のために急速な利上げを行っても、景気はなかなか冷え込まずインフレ率も下げ渋っていた。
7月の雇用統計についても過剰反応ではないかと個人的には思うのだが、あまりにも楽観的な意識が拡がっていて、ショックが発生したということだと思う。
日本ではあまりに急速に株が上がり過ぎていた(昨年末の日経平均終値が3万3,464円だったのが半年あまりで4万2,224円まで上昇していた)ことで、下落も大きかったということだろう。
日本の株式市場は外国人投資家の影響が大きいので、外国人が売りに回ったことで大幅下落し、信用取引で買っていた個人投資家に追証が発生し、売りが売りを呼んだという形になったわけである。
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