セブン-イレブン・ジャパンが今月3日より、東京都・千葉県・埼玉県の店舗においてドーナツの販売を始めるというニュースが、大きな反響を呼んでいる。
報道によれば、商品名は「お店で揚げたドーナツ」。その名の通り、工場で生地から製造したドーナツを急速冷凍し、各店舗で揚げて“出来立て”を提供するという。提供する商品と価格(税別)は、「お店で揚げたドーナツ(メープル)」が130円、「お店で揚げたドーナツ(カスタード)」が149円、「お店で揚げたドーナツ(チョコ)」が149円。
「お店で揚げたドーナツ」は、今年7月から埼玉県にて先行発売したところ、想定を上回る販売結果に。そのため今回1都2県での発売に踏み切り、今後販売エリアの拡大を目指すとのこと。セブン-イレブンでは「淹れたて」「焼きたて」「揚げたて」などの‟出来たて”に対するニーズが高まっていることから、そのニーズに応えた質の高い商品を展開するとしている。
昨年は「店内で揚げたカレーパン」がバカ売れ
‟出来たて”ニーズに応えると意気込むセブン-イレブンだが、同チェーンといえば22年末より、店内で揚げたカレーパンの販売を全国の店舗で展開。
これが朝食需要を大いに取り込むなど売れに売れているといい、2023年にはなんと7698万7667個を販売。ギネスから「最も販売されている揚げたてカレーパンブランド」として世界記録に認定されたという。
今回のドーナツの販売には、このカレーパンのノウハウが生かされているといい、具体的には工場におけるカレーパンのパン生地製造設備や急速冷凍設備などが、ドーナツの製造にも活用されるということである。
ただそのいっぽうで、今回の報道を受けて多くの人々の頭のなかをよぎるのが、数年前にあったいわゆる“コンビニドーナツ”のブーム。
当時、大ヒットとなっていた店内淹れたてのコーヒーとのセット買いを狙って、セブンがドーナツの販売を開始したのは2014年のこと。この動きは他のコンビニチェーンにも波及することとなり、さながらコンビニ間での“ドーナツ戦争”といった様相に。
この影響で、ミスタードーナツなど従来からのドーナツ専門チェーンは店舗を減らす事態となったのだが、ただコンビニ各チェーンとしても、想定していた売れ行きとはほど遠い状況だったということで、ほどなくしてドーナツ販売から撤退していったのだ。
ある意味で“黒歴史”といった扱いもされている過去のコンビニドーナツブームなのだが、ここに来てセブンがそんな過去の屈辱を払拭するかの如く、再びのドーナツ販売に踏み切ったということで、SNS上からはそのチャレンジ精神を称える声も一部からはあがっているよう。
しかしながら前回の失敗時には、そもそもドーナツという食べ物の潜在市場規模は、さほど大きなものではないのでは、といった指摘も多かったわけで、今回の再びの販売も果たしてうまくいくものなのか……といった懐疑的な見方も多いようだ。
チャレンジ精神は大事✨
人間は弱いもので具体的な目標がないとどうしても手を抜いてしまいがち
恥ずかしながら私も膨大なタスクのおかげで頑張れている部分もセブンのドーナツ再参入はすごいですね✨
新規事業ならわかるけど失敗したのにもう一度トライするとは…!… pic.twitter.com/OUYnSuIp44— まさる部長@協和製作所の熱量高めな採用担当 (@kyowa_ss) September 2, 2024
コンビニドーナツ、コーヒーと違い「潜在市場規模が小さかった」点が敗因であり、味を改良した所で上手く行くのかという疑問。日本のドーナツ需要はミスドでほぼ満たされてるのよね。
セブンが「レジ脇でドーナツ」再参入 撤退から7年 東京、千葉、埼玉で 全国拡大目指すhttps://t.co/WbuuEViyAb
— アーバンdev (@urbandevelopm17) September 2, 2024
“焼きたてピザ”に続く負担増に?
このように、その成否を巡って様々な反応があがっている、セブン-イレブンによるドーナツ再販売なのだが、そんななかで心配する声が多くあがっているのが、アルバイトなどの店員らの負担増。
店員さんの負担考えてあげて…
消費者がコンビニに求めてるのはそういう事ではないのよー!セブン、3日からドーナツ再参入 1都2県、一度撤退も全国拡大へ(共同通信) https://t.co/j9fSCD6aNM
— もちむぎ (@91Vz1iKyW4iPbcB) September 2, 2024
店員に負担かけてまでやる必要ない気が…
セブン 店で揚げたドーナツ販売へ 2024年9月2日 https://t.co/tY3g5A4uxq— てくのめがね (@Gakkey85) September 2, 2024
ただ単に商品を売るだけでなく、それ以外の多種多様なサービスを展開するようになったコンビニだが、それに伴って店員が扱うべき業務の種類は激増。
今年7月にセブンが焼きたてピザの宅配サービスを始めると発表した際にも大いに取沙汰されたのだが、そのようにもとから多忙を極めるなかで、さらには店内でピザを焼き上げたり、ドーナツを揚げたりといった業務が、ここに来て相次いでくわわったことで、店員らの疲弊度はさらに増すのではというのだ。
そうでなくとも、このところのコンビニ業界といえば、人手不足が深刻といった状況で、その影響もあって最近では、コンビニの代名詞ともいえる“24時間営業”が叶わず、いわゆる時短営業をしている店舗が、コンビニ主要6社の全店舗のうち1割強を占めるようになったという話も。
それゆえSNS上からは、仮に店員らの負担が増えるのなら、それ相応の待遇の改善もしてあげないと、コンビニから働き手がどんどん離れ、ゆくゆくは店の運営が立ち行かなくなるのでは……ということで、「ドーナツ揚げるより給料あげて」という声もあがっているところ。先述の通り‟出来たて”のニーズに応えたいとするセブンなのだが、それ以前にやることがあるだろう……というのが、多くの消費者の見方のようだ。
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