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株価低迷「日産」配当利回り6.4%に…激安だが買いか?長期投資家が見るべきリスクと成長性=栫井駿介

安いけど、買える?

株式投資の観点で見ると、日産はかなり安く見えます。
PER4.7倍、PBR0.23倍、配当利回り6.20%%(10月23日時点)と、魅力的に見えますが、落とし穴があるので気をつけてください。

特にPERと配当利回りに関しては、今期5,000億円という予想営業利益を出していますが、想定為替レートが155円となっています。
今の為替は1ドル=150円くらいとなっていますが、今年は一時140円くらいにもなりました。
円高になったとすると到底実現できない予想利益となっていますし、第1四半期までの状況を見ても実現できるかどうかは疑問視されています。

利益が減るということは配当も減るのではないかという憶測もされています。
過去にも業績が悪い時には配当も減らしてきた会社です。
なので、配当利回りの数字はあまりあてにしない方が良いと思いますし、PERも然りです。

一方でPBR0.23倍というのは安すぎる数字で、いわゆる”超割安株”に該当されて事業の良し悪しに関わらず、安すぎるがゆえに上がる時には上がるというシナリオが描けなくもないというところですが、時価総額1兆円もある会社が、先が見えない中で株価が簡単に上がるだろうかとも思います。

 

日産の今後について、唯一の解決策として考えられるのは、M&Aで買われてしまった方が良いのではないかというところが正直あります。
経営陣が社内抗争に明け暮れていて、今の経営陣が引っ張っていてもどうしようもないわけです。
外圧が加わらないと変わるのは難しそうです。

今とにかく安いので、例えば外資企業で電気自動車や自動運転をやりたい会社はあると思います。
日産の現状は良くないにしても、エンジンの技術や販売ネットワークが欲しい企業も無いわけではないと思われます。
仮に時価総額1.4兆円の日産を2兆円で買うという企業が現れたら、それで売らないとなると経営陣の怠慢となるので、株主にとっては高く買収されることを期待したいところです。
むしろ割安解消と被買収期待くらいしか希望が無いという厳しい状況です。

 

少なくとも、配当利回りの数字は必ずしも継続性の無いものなので、そこに惹かれて買ったりしないように気をつけていただきたいです。


(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)


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image by:T. Schneider / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2024年10月26日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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