2024年10月29日に発表された、株式会社ディーエムエス2025年3月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
本日の内容
山本克彦氏(以下、山本):株式会社ディーエムエス代表取締役社長の山本克彦です。本日は、担当より、当社事業のご紹介と2025年3月期第2四半期の業績をお伝えし、そのあと、私から、上方修正した2025年3月期の業績予想、成長に向けた取組みと資本政策及び利益還元についてご説明します。
1.事業紹介/①事業の全体像
村上遥香氏:それでは、当社の事業について、お話しします。当社は、1961年の会社設立以来、企業や公的機関と消費者との「よい関係づくり」をトータルサポートする事業を展開してきました。中核となる事業は、ダイレクトメールの企画制作・発送です。
また、既存事業のノウハウを応用して物流事業を新たな事業の柱として取り組む他、セールスプロモーション支援、イベント企画運営など、企業と消費者が直接コミュニケーションする分野で幅広いサービスを提供しています。
1.事業紹介/②選ばれる理由
当社の強みは大きく3つです。顧客企業が必要とする機能を複合的に提供できる「ワンストップサービス」、年間3億通を超えるダイレクトメールを扱う「スケールメリット」、品質や情報セキュリティのJIS認証を持ち、情報と安心をセットでお届けできる「マネジメントシステム」の強みです。
これらを活かして、付加価値が高く、かつ、規模の大きな案件に組織的に取り組めることが、当社が、大手企業を中心に選ばれる理由となっています。
2.2025年3月期第2四半期業績/①決算ハイライト
次に、2025年3月期第2四半期の業績です。期初の業績予想にも織り込んでいましたが、4月から6月期においてコロナ対策案件などの反動が響き、売上高は、前年同期比7.1パーセント減少の124億7,700万円、営業利益は、前年同期比38.8パーセント減少の4億8,500万円、中間純利益は、前年同期比37.3パーセント減少の3億5,200万円となりました。
一方、期初の業績予想に対しては、プラスで推移しています。
2.2025年3月期第2四半期業績/②ダイレクトメール事業
ダイレクトメール事業では、既存顧客の取引窓口拡大や新規受注促進が奏功し、通信販売や金融分野の広告主を中心に取扱いが増加したことで、前年比2桁の増収となりました。
また、当社が得意とする複雑な仕様や大ロット案件の内製化が進み、増益となりました。
2.2025年3月期第2四半期業績/③物流事業
物流事業では、EC市場の拡大を背景に、通販注文品の出荷が堅調に推移し、前年比2桁の増収となりましたが、高採算が見込まれる販促支援案件の取扱い減少が影響し、損失が発生しました。
引き続き、新規案件の獲得と、秋に予定している物流センター内の機械化により、利益改善を図っていきます。
2.2025年3月期第2四半期業績/④セールスプロモーション事業
顧客企業のバックオフィスやコンタクトセンター業務などを担うセールスプロモーション事業では、4月から6月期のコロナ対策案件の反動を補う案件獲得が軟調となり、減収減益となりました。
2.2025年3月期第2四半期業績/⑤イベント事業
イベント事業では、集客を伴う販売促進やスポーツイベントの再開需要の取り込みが進んでいますが、コロナワクチン接種会場運営の反動を補うには至らず、減収減益となりました。
3.2025年3月期業績予想/①事業環境及び重点施策
山本:続いて、私から、今後の取組みについてお話しします。足元及び今後の当社を取り巻く環境では、コロナ特需の反動や、10月からの郵便料金値上げの影響などの懸念材料もありますが、一方で、ダイレクトメールや物流事業と関係が深いEC市場の拡大、物価対策・子育て支援などの公共ニーズ、人流回復による販売促進・イベント開連ニーズの回復など、追い風となり得る事業環境も見られます。
このような中、当社は、盤石な顧客基盤を活かした未受注分野の案件獲得、継続的な取引が期待できる各事業の新規顧客開発、成長戦略の推進による業績貢献の具体化を足元の重点施策として、取り組んでいるところです。
3.2025年3月期業績予想/②業績予想
また、第2四半期において、ダイレクトメール事業が堅調に推移したこと、及び今後の動向を踏まえて、期初に公表した通期業績予想を上方修正しました。
新たな業績予想は、ご覧の表の中ほどの列にあるとおり、売上高は269億7,700万円、営業利益は11億500万円などとしています。
この後も、年末年始と年度末の商戦を含む後半戦に向けて、各事業とも受注を促進していきます。
4.成長に向けた取組み/①事業戦略
当社では、成長に向けた戦略として、デジタル分野で既存事業と相乗効果を発揮する「次世代事業の創出」と、物流・セールスプロモーション・イベント事業をダイレクトメールに次ぐ「第2・第3の事業の柱」とすること、さらに、「主力事業の深化」として、ダイレクトメール事業の新市場開拓と新サービス提供によるシェア拡大を目指しています。
4.成長に向けた取組み/②基盤戦略
また、これらの取組みを支える基盤戦略として、「デジタル・トランスフォーメーションの推進」と、気候変動や個人情報の保護と活用の両立、多様性の確保と人材の活用といった「サステナビリティへの取組み」、さらには、すべてのもととなる「健康経営の推進」に取り組んでいます。
4.成長に向けた取組み/③トピックス1
これらの戦略に基づいた最近の取組みをお知らせします。当社では、既存事業の周辺で、デジタルとリアルを組み合わせたサービスを開発し、提供しています。
昨年度は、ダイレクトメールの制作分野で、AIによる広告表現のチェックツールを開発したほか、顧客管理と分析のシステムを利用したデータ活用分野のサービス開発を推進しましたが、今年度は、これらの新分野の営業体制を整備し、いくつかの導入事例も出てきました。
第2四半期では、これらの取組みを促進するため、デジタルサービス特設サイトを開設し、システム製品や従来のサービスの上流領域へ拡大展開したいと考えています。
4.成長に向けた取組み/③トピックス2
次に、物流事業の取組みです。物流を取り巻く環境では、EC通販出荷件数の増加や、作業要員の人件費増加を背景とした業務効率化の課題、作業工程における運送事業者の荷待ち時間の削減が課題になっています。
これらを解決し、利益改善につなげていくため、物流設備へ投資し、11月の稼働を目処に、業務の自動化・省力化を図る取組みを開始しました。
4.成長に向けた取組み/③トピックス3
また従来、企業のプレゼントキャンペーン案件が多かったセールスプロモーション事業ですが、このところ、地方自治体での子育て支援や地域活性化のニーズを背景に、必要な各種業務を組み合わせて総合的に提供する機会が増えています。
ダイレクトメール事業で培ってきたコミュニケーションツール制作や情報処理のノウハウに、コールセンターやバックオフィスを組み合わせた事務センター機能を強みとして、住民サービス・地域支援のBPOサービスを展開しています。
4.成長に向けた取組み/③トピックス4
イベント事業では、前年に取得した建設業許可を活かして、ステージ、ブース、音響や照明など、屋内外の大規模な構造物や内装にもサービス領域を広げています。
8月に代々木第一体育館で開催された、「パリ・サン=ジェルマン ハンドボールジャパンツアー2024」においても会場設営・運営を支援しました。
4.成長に向けた取組み/③トピックス5
最後はサステナビリティのトピックスです。従来、ダイレクトメールでは、雨や破損に強く、中身の視認性にも優れるプラスチックなどの合成樹脂を梱包材に利用することがあります。
当社では、その利点を活かしつつ、ダイレクトメールが長期的に価値を発揮できるよう、温室効果ガスの排出を抑制する環境配慮型フィルムラッピングの企画、提供を始めました。
スライド左下のみどりのマークは、これらの取組みを象徴するシンボルマークです。当社では、今後も事業における生産活動や職場環境などにおいて、環境負荷を軽減する活動に取り組んでいきます。
5.資本政策/①現状及び目標
最後になりましたが、今後の資本政策について、ご説明します。当社では、本年5月15日に、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を見直し、株主資本コストについて、8パーセントの水準を認識した上で、これを上回る長期的なROE目標として、8パーセント以上を目指すこととしています。
5.資本政策/②株主還元
このため、事業による収益性強化に努めることはもちろんですが、株主還元においても、従来とは異なる水準で実施させていただくことで、資本コストと収益性のバランスを良化させていきます。
具体的には、2025年3月期から2027年3月期の配当性向の目安を60パーセントとして株主還元を強化します。また、2025年3月期においても、上限5億2,500万円の自己株式取得を行っています。
5.資本政策/③増配予想
さらに、先ほどご説明した、2025年3月期第2四半期の業績と同じく通期業績予想の修正を踏まえ、配当性向60パーセント目安の方針に基づき、中間配当を1株当たり35円から37円に、期末配当予想を1株当たり40円から49円に修正しました。この結果、当期の年間配当予想は、1株当たり86円となります。
以上で、株式会社ディーエムエス、2025年3月期第2四半期の決算説明を終了します。
今後とも、何卒よろしくお願いします。最後まで、ご視聴いただき、ありがとうございました。
質疑応答:ダイレクトメール事業が増益に転じた要因について
Q:ダイレクトメール事業は第1四半期の減益から第2四半期では増益になっています。どんなことが要因ですか? 今後もこのような変動はありますか?
A:ダイレクトメール事業では、4-6月のセグメント利益率が6.7パーセントだったのに対して、7-9月では7.6パーセントでした。利益率改善の主な要因は、業務部門の内製稼働が高まり、固定費の回収効率がよくなったことです。
また、その中に高採算につながる付加価値の高い案件が多く含まれていたことも要因であると思われます。一つひとつのダイレクトメール案件は短期間に実施されますので、その時の稼働状況や案件の性質によって、利益率の多少の変動は今後もあり得るものと思われます。
質疑応答:ダイレクトメール事業の今後の見込みについて
Q:第2四半期までのダイレクトメール事業の伸びには、10月の郵便料金値上げ前の駆け込み需要が含まれていますか? 今後の見込みをどのように見ていますか?
A:多少はご指摘のような受注要因もあったと思いますが、全体的にはほとんど特殊な動向はなかったという印象です。この後、計画に織り込み済みのもの以外で、郵便料金値上げ後のダイレクトメール利用を減らすという顧客企業のご意向も聞こえていません。
当社としては、顧客企業にとって費用対効果の高い施策を提案しながら、質の高いサービスをご提供することで、当社に対する指名率を高めていけるよう取り組んでいきます。
質疑応答:物流事業の損失の要因と改善策について
Q:物流事業は売上高が伸びているのに損失が出ています。要因と改善策をどのように考えていますか?
A:第2四半期においては、通販出荷の取扱いが増えたことが増収につながっています。一方、高採算が期待できる販売促進関連の物品や資材をお届けする分野において受注が振るわなかったことで、人件費を中心とした経費が賄えなかったということが要因です。
このため、業務の効率化により利益改善を図るべく、物流設備に投資し、業務の自動化・省人化に取り組んでいるところです。
質疑応答:物流業務の自動化・省人化で得られる利益改善効果について
Q:物流業務の自動化・省人化に取り組むとのことですが、利益改善の効果は今期中に見込めますか?
A:新しい物流設備は11月中に稼働する計画です。その後、新たな手順を習熟することや対象案件を徐々に広げることを行っていきます。今期中にも効果の一部は期待しています。
質疑応答:修正後の通期業績予想における上期の伸びの継続性について
Q:通期の業績予想修正には、上期までの伸びが下期に加味されていないようです。上期の伸びには継続性がないということですか?
A:第2四半期の業績伸長の主な要因は、ダイレクトメール事業の受注が拡大できたことです。ただし、多くのダイレクトメールは比較的短期間に実施され、第2四半期の案件がそのまま継続するというわけではないため、通期の業績予想には、第2四半期の実績分だけを反映させています。
足元の業況としては堅調さを維持している印象がありますので、引き続き、通期の業績向上に努めていきます。