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トランプ政策は円高か円安か。「アメリカ第一主義」がもたらす市場の動揺と期待=斎藤満

トランプ大統領の就任後、市場はその政策の影響に神経を尖らせています。為替相場の変動、移民政策、原油価格、そして関税政策に至るまで、各分野でその動向が注目されています。トランプ氏が掲げる「アメリカ第一主義」がもたらす国内外の影響とは何か?日本を含む世界経済への影響を読み解きます。(『 マンさんの経済あらかると マンさんの経済あらかると 』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2025年1月25日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

円高か、円安か

トランプ氏の就任式当日の為替は円高円安両方に振れました。市場はトランプ関税に注目し、インフレ的ならドル高・円安、部分的でインフレ抑制ならドル安・円高と考えたようです。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

演説の前半では関税に触れなかったため、154円台まで円高が進み、メキシコへの25%関税に言及すると156円台の円安に戻りました。市場はトランプの言動に一喜一憂しています。

新NISAで米国株を買っている投資家などは今後の為替相場に神経質になっています。トランプ政策がインフレ金利高に向かうのか、ドル高が続いたときにトランプ大統領はどんな行動に出るのか、改めてチェックしてみましょう。

真っ先に支持者への恩赦と不法移民排除

就任式でトランプ大統領が左手を聖書の上に乗せずに宣誓したことがひそかに話題となっています。「常識の打破」を打ち出す新大統領の第一歩だったのか、自らを神格化したことによるのか、物議をかもしていますが、初日にまず動いたのは、不法移民排除と国会乱入事件で捕まった支持者への恩赦でした。

早速「超法規的」対応となりました。最高裁で「有罪」とされたものを、大統領の権限で恩赦、減刑を決めました。そして不法移民排除に関しては、米国憲法が認める「出生地主義」の制度を廃止し、不法移民者の強制送還にとどまらず、米国で生まれた子供たちも強制送還しようということになります。後者についてはすでにいくつかの州から「憲法違反」として差し止めの声が上がっています。

「法の安定」を前提にできないところにトランプ政策の不透明さがありますが、国民の多くが求めた不法移民の排除を真っ先に打ち出したことで、その影響がこの春以降、各産業で出て「人手不足」を加速させる可能性があります。

雇用統計ではこのところ賃上げの動きが落ち着いていましたが、低賃金の移民を使えなくなると、企業は大きな影響を受け、賃上げで雇用を確保せざるを得なくなります。これは人手不足に端を発する賃金インフレ、つまり国産のインフレ圧力となり、FRBには警戒材料となります。

Next: パリ協定離脱、石油は掘りまくる…。関税は交渉手段にも

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