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宝塚の夫婦、市民病院建て替えに約254億円もの巨額寄付。「本物の元キーエンスは“元キーエンス”を名乗らない」とSNS上で称賛の声

兵庫県宝塚市が、老朽化した市立病院の建て替え費用や医療機器購入資金として計約254億円の寄付を受けたと発表したことが、大きな話題となっているようだ。

報道によれば、寄付を行ったのは同市内に住む70代の夫婦で、今回、宝塚市が市立病院の建て替え費用の確保に悩んでいると聞いた夫婦は、「市民が安心できる病院をつくってほしい」と250億円、さらに医療機器購入資金として約4億円の寄付も決めたという。

市立病院の建て替えの概算事業費は約397億円で、約6割が寄付で賄われることになるという。

市民病院は老朽化により漏水が頻発

宝塚歌劇団の本拠地である「宝塚大劇場」が存在する“歌劇の街”として知られるいっぽうで、大阪・神戸のベッドタウンとしても発展した宝塚市。

ちなみに同市の予算規模だが、2024年度の当初予算は約905.5億円、また同年度の市税による歳入は約352億円だということで、それらと比較しても今回の約254億円という寄付額は、かなりインパクトのあるものだと言えそうである。

もとより人口減により税収入の低下、さらに高齢化の進行による社会保障費の増大により、厳しい財政状況が続いているという宝塚市。そのため同市では、現在実施中の全591事業のうち116事業の見直しを行うなどの行財政改革を進めており、昨年12月には同地の復興シンボルだった武庫川内の観光噴水「ビッグ・フェニックス」を、ついに止めてしまったほどだ。

そんななかで同市にとって最も重大な懸案事項となっているのが、市立病院の建て替え問題。同院の開業は1984年で、すでに築40年を経過していることから老朽化が目立っており、数年前からは院内の至る所で配管の劣化による漏水が頻発しているとのこと。

再建にあたっては周辺の公立病院との再編も模索していたようだが、それも相手が見つからなかったことから、単独での建て替えを決めた同市の市立病院だが、22年の時点で建設費などで262億3600万円かかるとの試算が。しかし、折からの建設費や人件費の高騰もあって、その事業費は先述のように400億円近くまで膨らんでいたというのだ。

このように宝塚市としては、市立病院の建て替えが待ったなしの急務だとはいえ、その資金の算段をどうつけるかで悩まされていたなかで、今回の“天の恵み”といった巨額の寄付を受けることに。それだけに市側も、公式SNSアカウントの投稿を見るに、喜び以上に浮足立っているといった状況のようである。

寄付を行ったのはキーエンスの創業期メンバー

いっぽうで今回寄付を行った人物に関しても、SNS上で大いに取沙汰されており、どうやら元キーエンスの創業期からの社員だった岡本光一氏で、阪神・淡路大震災の前後に退職した後は、地域で福祉センターなどを私財を投じて整備するなどの、社会貢献活動を行っているということ。

ご自身が語られたところによると、1975年にキーエンスの前身であるリード電機にエンジニアとして入社したのちに、社長から「株を持たないか」と持ちかけられ、それに応じて上場前のキーエンス株を手にしたという。

しかし、その後のキーエンスはというとご存じの通り大躍進を遂げ、それに伴い株価も暴騰。リーマンショック時の安値から10年で、株価は10倍にまで上昇したということで、さらに直近の10年でみても、2016年の年間最安値が12,625円だったのに対し、直近では63,000円あたりで推移している。現在、氏がどれほどのキーエンス株を保有しているのかは不明だが、かれこれ4~50年前のストックオプションによって得た莫大な資産を、惜しげもなく社会福祉に投じているということのようだ。

キーエンスといえば、短期間で目覚ましい躍進を遂げた稀有な企業ということで、その営業手法などが多く書籍化されたりなどしているわけだが、その反面で“元キーエンス”という経歴をウリにしたコンサルや、あるいは情報商材の販売といったものが世にあまりにも溢れすぎている状況から、最近ではこの“元キーエンス”という肩書が、少々胡散臭いものとして捉えられている印象も。

しかし、今回の“元キーエンス”の善行に関しては、純粋に称賛の声が多くあがる格好となっており、SNS上ではこういった“元キーエンス”を大いに名乗る存在との対比として「本物の元キーエンスニキは「元キーエンス」を名乗らない。」「元キーエンスって謳いまくって小銭稼ごうとしてる奴の立場無い」といった声も多くあがっている状況のようだ。

Next: 「鬼ホールド続けた握力に感嘆」

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