トランプ関税が韓国経済を直撃する。特に4月2日の自動車関税決定は、韓国にとって「死活問題」となるかもしれない。FTAや迂回輸出を活用してきた韓国にとって、新たな関税政策はどのような影響をもたらすのか。本記事では、その深刻なシナリオを詳しく分析する。(『 2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済) 2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済) 』)
※本記事は有料メルマガ『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2025年2月15日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
猛威を振るう「トランプ関税」
今回のメルマガでは、今年の重要なキーワードとなっている「トランプ関税」について書く。
すでにトランプ関税は2月あたりから世界中で注目されているが、どの関税も貿易依存国である韓国にとっては悪影響である。韓国はFTAなどを他国と結んで、関税を限りなくゼロに近づけて韓国製を輸出している。もちろん、アメリカとも米韓FTAを結んでいて、関税については高いといえば米ぐらいしかない。
しかし、トランプ氏は関税以外でも、非関税障壁について問題視している。非関税障壁にはいろいろあるが、言及されているのは日本でも馴染みのある付加価値税(つまり消費税)についてだ。
消費税については、各国の事情で税率が異なる。そのため、消費税が不公平だから相互関税を課すと言われても、よくわからない。そもそも相互関税宣言について、これから調べます という状況である。
どうもトランプの関税政策は見切り発車で、相手との交渉に使っているだけにしかみえない。最初にインドのモディ首相との首脳会談を取り上げるが、これにも相互関税が大きく影響を及ぼした。
では、さっそく見ていこう。
大幅に譲歩させられたインドのモディ首相
なぜ、このアメリカとインドの首脳会談に注目する必要があるのか。それはトランプ氏が世界中の国家に相互関税を課すという発表してから、すぐの首脳会談であるからだ。つまり、インドに対して述べたことが相互関税についての試金石となる。
アメリカは何を問題視しているのか?いくつかの発言から見えてきたので紹介しよう。
米政府が最恵国待遇(MFN)を与えている国の農産物に対する関税は平均5%であるのに対し、「最恵国待遇に対するインドの関税は平均39%」。
「インドはアメリカのオートバイにも100%の関税を課しているが、我々はインドのオートバイに2.4%の関税しか課していない」。
確かにこのように見れば、インドがアメリカに対して課す関税は高い。これをアメリカからエネルギーやステルス戦闘機F35を購入することで貿易赤字を解消するというのがモディ首相だ。しかし、自国産を保護するために高い関税を課すのが世界の常識だったわけだが、アメリカの言ってることも一理ある。
もちろん、米国製が売れない理由は他にもいろいろあるが、「高い関税」が原因と指摘されても、間違ってるとは言い切れない。
しかし、アメリカがインドの関税に合わせたら、インド経済は大混乱して崩壊するだろう。インドのオートバイに100%の関税を課したら、インドのオートバイは売れなくなるのは必至だ。インドの農作物に平均39%を課しても同じである。
そのため、インドが逆にアメリカに合わせるしかない。しかし、もしそうすればインドの国内企業は全滅する。インドに安いアメリカ産が入ってくれば、インド製品やインド産が売れるとは思えない。
つまり、この2つの例を見ただけでも、相互関税というのはアメリカとの貿易赤字国トップにとってはとんでもない関税なのだ。鉄鋼やアルミニウム関税25%がはるかにましにおもえるほど。だって相互関税だから。
しかも、この相互関税で怖いのは〇〇が高すぎるから、代わりにこちらも〇〇の課税を強化するというふうに言い出しかねない。例えば、日本の自動車の場合、直接的な関税はなくとも、「付加価値税が10%付いているから、これは不当だ。自動車に10%関税する」とか言いかねない。そんな相互関税だって、理論上は可能なのだ。
これは非常にややこしい。関税だけではなく、非関税障壁にもアメリカは問題視しているのだ。関税が安いからと安心できるものではないのだ。
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