負担感を感じさせない仕組み
中国の税金は、負担感を感じさせない仕組みになっています。多くの庶民は税金を支払っている感覚がありません。実は付加価値税をかなり支払っているのですが、内税表記であるために意識することはほぼありません。消費税は贅沢品だけにかかるため気にするのは富裕層が中心です。企業所得税は、経営者しか気にしません。個人所得税は7割の人が払っていません。多くの人が「所得税って何?」となるのも無理はありません。
これがいいことなのか、悪いことなのかはわかりませんが、庶民にとっては、税金も払っていないのに、国はインフラをつくったり、社会保障をしてくれたりするありがたい存在に見えているはずです。
一方で、高額の収入を得て個人所得税を支払っていたり、会社を経営して企業所得税を支払っている人にとっては負担感は決して小さくありませんが、その分「社会に貢献している」というプライドをもてるようになっています。中国政府は、市民に負担感を感じさせない税体系を構築することに注意を払っているようです。
中国で税収を増やして国家予算を増やす方法は明快です。企業を中心とした経済活動を促して、企業所得税と付加価値税が増えるようにすればいいのです。そうすると、個人の報酬もあがっていき、個人所得税が増え、贅沢品を買う人が増えて消費税が増えていくことになります。
一方、日本の税収割合も参考に見てみます。消費税が多く、外税方式であるために、納税意識は高まるものの負担感は大きくなります。また、法人税よりも所得税の方が大きいことも日本の特徴です。
中国は相続税がありませんので、直接税は個人所得税と企業所得税のみで、直接税比率は34.6%になりますが、日本は54.94%もあります。税収の総額は、中国が17兆4,972億元(約349.7兆円)で、日本の69兆6,080億円から見ると、日本の5倍ほどになります。直接税比率が低く、なおかつ負担感が小さな仕組みになっていて、しかも人口が日本の10倍以上であることを考えると一人あたりの負担額は大きくありません。税金に関しては、中国は日本よりもはるかに負担感のない国になっています。
中国と日本の国家予算の内訳
法的にグレーな税収も!?
歳出でも中国と日本に差
税金の負担感が少ないことのメリット
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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
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』(2025年5月12日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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