多くのゲームファンが待ち望む任天堂<7974>の新型ゲーム機『Nintendo Switch 2』は、今年の6月5日に発売されることが決定しています。すでに予約が殺到しているというニュースを目にされた方も多いのではないでしょうか。この記事では『Switch 2』の最新情報から、その発売が任天堂の業績や株価にどのような影響を与えるのか、そしてゲーム市場全体の動向まで深掘りしていきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。
『Nintendo Switch 2』の概要と進化
まず、『Switch 2』はどのようなゲーム機なのでしょうか。
その開発自体は初代『Switch』が発売されたわずか約1年後の2019年から始まっていたようです。これは、任天堂が次世代機に向けていかに早期から研究開発に時間をかけているかを示しています。
『Switch 2』は2025年6月5日に発売が予定されています。価格は49,000円程度になるとされており、現在販売されている初代『Switch』の有機ELモデル(約37,000円)と比べると、1万円以上高くなっています。物価高の影響もあるでしょうが、ハードを乗り換えるユーザーにとっては負担増となる可能性があります。
外見は初代と大きく変わらない印象を受けるかもしれませんが、内部の性能は向上しています。これまで重かった動作が軽快になるなど、処理能力の向上が期待できます。これは、より高性能な部品を使用しているためと考えられます。
さらに、『Switch 2』では音声通話機能が追加される点も注目です。ゲームをプレイしながら他のプレイヤーと音声でやり取りできるようになるため、オンライン対戦などがよりリッチな体験になるでしょう。専用のカメラを使えば、顔を映しながら通信対戦することも可能になるとのことです。これは、PCオンラインゲームのような要素を取り入れた進化と言えそうです。
事前予約の状況と驚異的な人気
『Switch 2』の人気の高さは、事前予約の状況からも明らかです。国内での抽選予約には、なんと220万件もの申し込みがあったと話題になりました。任天堂の古川社長も、公式Xアカウントでこの応募数を公表し、事前の想定を大幅に上回ったとコメントしています。
具体的に何台の予約枠があったかは明確にされていませんが、年間目標販売台数1,500万台(全世界) と比較しても、国内だけで220万件の応募というのは非常に多い数字であり、圧倒的に多くの人が抽選に外れている状況がうかがえます。予約できたのはごく一部の人だけだったと言えるでしょう。
この予約の過熱ぶりを受けて、任天堂は転売対策にも力を入れています。例えば、公式のNintendo Storeでの予約抽選には、過去1年間にNintendo Switch Onlineに加入していた『Switch』の既存ユーザーであることという厳しい条件が課されました。これにより、転売目的ではない既存のファン層に購入機会が与えられました。量販店でも独自の条件(例: ビックカメラのクレカ所有かつ2年で3万円以上の購入実績など)が設けられており、購入できる人がかなり絞られる状況でした。
今後の販売スケジュールとしては、第3回抽選の結果発表が6月3日に行われるようです。そして、6月5日の発売日以降は、通常販売も行われると考えられます。
目標販売台数1,500万台の背景と初代『Switch』の実績
任天堂は『Switch 2』の初年度販売目標を1,500万台としています。この数字は、初代『Switch』が発売初年度に達成した販売台数をベンチマークとして設定されています。
しかし、この目標台数に対しては、「少ないのではないか?」という声も聞かれます。初代『Switch』は累計で約1億5,000万台を販売しており、すでに多くのユーザーがいます。これらのユーザーが『Switch 2』に乗り換えることを考えると、初年度1,500万台は控えめに見えるかもしれません。意図的に需要過多な状況を作り出しているのではないか、といった見方もできます。