ダイキン工業<6367>は、素晴らしい会社として知られていますが、足元の株価はやや下落傾向にあります。果たして今後ダイキンはどのように推移していくのでしょうか。今回は、ダイキンの「すごさ」も含めて、今後の方向性について解説します(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。
最高益でも市場予想には届かず
ダイキンの直近の業績推移を見てみましょう。
2025年3月期の営業利益は約4,000億円となり、額面上は過去最高を記録しました。売上高も過去最高となっています。
しかし、当初の会社予想は営業利益4,280億円であり、この予想には届きませんでした。このため、ややネガティブな見方もあります。
続く2026年3月期も増収増益を見込んでおり、営業利益は前期比約8%増の4,350億円となる見込みです。しかし、これもアナリストのコンセンサス予想(約4,500億円程度)には約200億円前後届いていない状況です。
このように、業績自体は過去最高や増益見込みではあるものの、アナリストの期待水準には届かなかった点が、足元の評価に影響していると考えられます。
株価の推移:決算発表後に下落、ピークからは半値近くに
ダイキンの株価は、直近の決算発表を受けて下落が続いています。特に2025年3月期第3四半期の決算発表タイミングで大きく下がりました。決算期待で一時的に上昇した局面もありましたが、発表後に「そんなに良くない」という見方から下落したようです。
もう少し長いスパンで見ると、ダイキン株価はコロナ禍に大きく伸びました。これはウクライナ戦争の影響などにより、ガス価格の高騰やロシアからのパイプライン停止を受けて欧州でガスを使わない電気暖房(ヒートポンプ)が売れたことが大きな要因でした。しかし、その後株価は下落傾向となり、ピーク時からは半値近くになっている状況です。

ダイキン工業<6367> 週足(SBI証券提供)
<株価下落の主な要因:「主要市場アメリカと欧州での苦戦」>
直近の株価下落の背景には、主要市場であるアメリカと欧州での販売不振があります。
地域別の売上高を見ると、2025年の当初予想に対して、日本、アメリカ、ヨーロッパの売上高は基本的には大きな問題がありませんでした(売上ベース)。2026年の通期予想でも、売上が減ると見込まれているのは中国とその他地域だけです。売上高だけを見れば極めて順調に見えます。
しかし、問題は売上高の構成と、特に主要な市場であるアメリカとヨーロッパでの具体的な販売状況にあります。