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株価ピークから40%下落「GENDA」いまが買い?長期投資家が注視すべきリスクと成長戦略=元村浩之

GENDAの事業内容と成長戦略

GENDAのメイン事業は、ゲームセンターの運営(GiGO)です。GiGOは元々セガが運営していたゲームセンター事業をGENDAが買収し、ブランド名を変更したものです。

<ゲームセンター事業の復活>

かつては衰退産業と見なされていたゲームセンターですが、日本のIP(アニメや漫画などのコンテンツ)が世界中でヒットし、訪日外国人観光客が増えたことで、UFOキャッチャーが人気を博し、復活を遂げています。UFOキャッチャーは、商品の選定やゲーム性の工夫によって収益化が可能です。

<M&Aを軸とした成長戦略>

GENDAは、2018年に現在の社長である片岡さんと前社長の申さんによって立ち上げられました。片岡さんは、元々イオンファンタジー(大手ゲームセンター運営会社)の社長を務めており、ゲームセンター運営のノウハウを豊富に持っていました。プライベートエクイティファンドからの出資を受け、最初はアミューズメントマシンのレンタル事業からスタート。その後、2020年にはセガエンタテインメント(旧セガエンタープライズ)のゲームセンター事業を買収し、GiGOとして運営を開始しました。この買収はコロナ禍での実施であり、比較的安価で買収できたのではないかと思われます。

GENDAは、GiGO事業以外にも、地方の小規模なゲームセンターや、景品を企画・製造する会社などを買収し、垂直統合を進めています。これにより、店舗数が増えるほど収益性が向上する体制を築いています。

<カラオケBanBan買収の狙い>

カラオケBanBanの買収は、カラオケ事業とゲームセンター事業を隣接させることで、集客力を高め、相乗効果を生み出すことを狙ったものです。

カラオケボックスは稼働率が高まるほど利益が上がるビジネスモデルであり、ゲームセンターとの連携で回転率を上げることを目指しています。

M&A戦略に潜むリスク

GENDAのM&Aを軸とした成長戦略には、いくつかの懸念点があります。

・プライベートエクイティの影響
GENDAの設立にはプライベートエクイティファンドが関わっており、現在もその持ち分は約30%強と高い比率を占めています。プライベートエクイティは、企業の買収と売却を通じて利益を得ることを目的としており、M&Aによって短期間で業績(特にPL上の利益)を伸ばすことを重視する傾向があります。これは、多額の借入れ(レバレッジドバイアウト)を伴うことが多く、キャッシュフローは悪化し、企業のリスクを高める側面があります。

・M&A案件の高騰と「のれん」のリスク
コロナ禍では安く優良なゲームセンターを買収できましたが、現在はゲームセンター事業が好調であるため、今後も「美味しい」買収案件が残っているかは不透明です。高値での買収は、結果的にのれんが大きくなり、毎年の償却費が利益を圧迫することにつながります。

・事業統合(PMI)の難しさ
M&Aで企業を買収した後、システムや文化、人材を統合していくことは非常に難しい作業です。買収した企業のシステムを導入することはできても、そこにいる人々をうまくまとめ上げるには、時間と労力、そして確固たるノウハウが必要です。過去にはM&Aで大きく成長したものの、その後統制が難しくなった企業(エムスリーなど)の事例も存在します。M&Aを成功させるためには、安く買収することや、買収後の事業統合(PMI)に徹底的に力を入れることが重要とされています。

・カラオケ事業でのシナジーの不透明性
片岡社長はゲームセンター運営の豊富なノウハウを持っていますが、カラオケ事業でのノウハウやシナジー創出については、まだ未知数な部分があります。カラオケ業界は過去20年間、客数や客単価を伸ばすのが難しい業界でした。

一方で、米国におけるゲームセンター事業の買収は、日本のIPと運営ノウハウの導入により、買収後に売上が200%(3倍)に増加するなど、成功事例も出ています。これは、日本のゲームセンター運営ノウハウやIPが海外で通用する可能性を示唆しています。

Next: 長期投資家はどう判断すべき?リスクと今後の展望は…

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