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株価倍増「ローム」長期投資家は買いか?日経平均採用効果と次世代パワー半導体の投資価値を分析=元村浩之

中長期的に見ると、EV市場の生産台数やSiCの市場規模は、2024年、2025年こそ当初の想定よりも伸び悩むかもしれませんが、2030年頃には市場が確実に拡大すると見られています。EV開発の大きな潮流が変わることはないだろうという考えが根底にあります。

ロームの競争力については、SiCにおける技術的な優位性が挙げられます。SiCは素材が高価で製造も難しいため、製造時の歩留まりの悪さが課題ですが、ロームはその克服に成功し、顧客企業にとってメリットのある製品開発を進めることで、高い技術的優位性を持っているとされています。生産キャパシティも増強済みであり、発注があれば対応できる体制は整っています。

しかし、STマイクロ、オンセミ、インフィニオン、ウルフスピードといった欧米の競合企業もSiC開発を進めており、それぞれの国の自動車メーカーとの関係も深いため、海外市場にどれだけ食い込んでいけるかは不透明な部分もあります。特に中国市場では、コスト競争力が求められるため、ロームのような日本の安全性能を追求する企業が本格的に入り込むのは容易ではないかもしれません。

まとめと今後の注目点

ロームは、日経平均採用による株価上昇、将来性のあるSiCパワー半導体事業、そして自動車の電動化という大きなトレンドに乗る企業として注目に値します。積極的な設備投資が短期的に利益を圧迫していますが、SiC市場の長期的な拡大と、ロームの技術的優位性が、今後の成長を左右する鍵となるでしょう。

特に、EV市場の動向、そしてロームが積み上げたSiCの生産能力と技術的優位性をいかに活かし、市場シェアを拡大できるかが、今後5年程度の期間で試されることになります。


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image by:JHVEPhoto / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2025年7月9日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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