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TPPなき今、日欧は「経済連携協定」で自由貿易体制を加速できるか?=大前研一

【日仏】高速炉「アストリッド」建設で協力の意義

日本とフランス両政府は20日、原子力分野での協力を強化する合意文書に署名しました。次世代型原子炉としてフランスに建設予定の高速炉「アストリッド」について、両国がどのような技術を持ち寄り、知的財産をどう管理するかなどの枠組みを作る方針です。日本はフランスと協力し、高速炉の実用化を急ぐ考えです。

これはあまり意味のないものだと思います。日本の文科省としては、もんじゅ閉鎖となった結果、なんとかこれを活かしたいというので高速増殖炉の開発をやっているということにしないと、プルトニウムの備蓄を日本に認めないというヨーロッパおよびアメリカの意見があるのです。そのことにより、苦し紛れにフランスと組んでやっていきましょうということなのです。

フランスの場合は、実は「ラプソディー」という実験炉と、「フェニックス」というもんじゅと同じ原型炉の運転経験があり、さらに「スーパーフェニックス」という実証炉の運転に、既に成功してしまっているのです。実証ができたので、技術を全てタイムカプセルに詰めて、運転を止めてしまったという状況なのです。そこで今なぜ、新しい実証炉「アストリッド」をやるのか、私には疑問に思われます。

実はその点で、ロシアやインド、中国、いわゆるBRICs諸国が実用化を目指して動き始めているのです。元祖のフランスとしては、高速炉で本当に成功した唯一の国であるわけなので、高速増殖炉と言えばロシア、中国などと言われると癪にさわるということで、あるグループが復活させたのではないかと見ています。

そしてそこに今度は日本も、もんじゅ閉鎖ということで乗っかろうというわけで、非常にみっともない感じがします。日本の場合には、「常陽」という実験炉と、実証炉「もんじゅ」があり、その次の実証炉も実は計画されていたのですが、それは遥か先、今ではもう不可能ということになっています。もんじゅそのものも運転ができないまま終わりとなってしまったので、これに対する悔し紛れの逆転一発というつもりなのでしょうが、私は意味がない契約だったと思います。

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