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手詰まり日銀「緊急対策会議」のゴールが1ドル100円割れとなる理由=斎藤満

具体策を持たない日銀の「丸腰」

ブレグジット・ショック以来、政府は何とか円安株高にして選挙に臨みたいとしていますが、金利が「追加緩和」に相当するほど下げていながら、円安も株高も実現していないというジレンマに陥っています。

追加緩和で円安誘導と米国から言われる以前に、金利が下がり過ぎて、金融機関の事情を考えると、これ以上金利を下げられないところまで来ています。

このため、緊急対策会議は何度も開かれるものの、具体的な対策が打ち出せない状況にあります。日銀には記者団から「臨時決定会合の開催」を問われても、日銀は返す言葉がありません。

臨時会合を開いても、打つ手がなければ意味がありません。

結局、日銀は「武器」を持たないことを敵に悟られないよう市場をけん制し、口先介入や「期待」に働きかけて相場の安定を維持するしかありません。

マイナス金利策の拡大は一段と難しくなりましたが、さりとてこれだけのマイナス金利国債を買い増しすれば、日銀の財務悪化を悟られてしまいます。

量的緩和の追加は、政府の国債増発を待つしかないでしょう。それは政府が総合経済対策を打ち出し、その財源として国債や財投債の追加を打ち出してから、と見られ、10月末の会合まで待つ可能性があります。

7月日銀緩和見送りなら1ドル100円割れも

市場には日銀が7月こそ追加緩和に出る、との期待があるだけに、これが見送られると、また円高を誘うことになり、今度は100円割れにつながる可能性があります。

政府日銀には、これを打開するためには、最後はヘリコプター・マネーに逃げ込むしかない、との認識が広がりつつあります。


※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2016年7月1日号の一部抜粋です。興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。月初の購読は特にお得です!

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マンさんの経済あらかると』(2016年7月1日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

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