通貨「円」の担保は私たち自身、日本国の個人と法人だ
我が国の最大のリスク要因は政府の負債の大きさです。GDP比で240%を突破しており、他国を圧倒しています。ダントツで1位です。
意外なことに、海外投資家は政府債務の大きさはそれほど気にしていません。なぜなら、お金を貸しても良いケースの2番目「担保がある/連帯保証人がいる」に該当すると思われているからです。
なぜなのでしょうか?それは政府の負債が「内国債」だからです。海外の保有者はわずか5%だけとなっています。95%は日本国内の金融機関が保有しています。
※日本の国債の保有者内訳をグラフ化してみる(2016年)(最新) – ガベージニュース
私たちは銀行にお金を預けています。
日本国の個人・法人 → 預金 → 金融機関 → 国債購入 → 政府
このような構図になっています。間に「金融機関」が入っているため、話がわかりにくくなっていますが、結局は次のような構図です。
日本国の個人・法人 → 国債購入 → 政府
間に入っている金融機関を抽象化すれば、国債の所有者は日本国の個人・法人となります。つまり、万が一、政府が国債を返済できなくなった場合、日本国内の個人と法人がダメージを受けます。
一方、日本国内の個人と法人は大きな資産を保有しています。これが「担保」になっているのです。
私たち日本国民は債務者?それとも債権者?
経済の主体は「法人」「個人(家計)」「政府」の3者です。
中には「私たちは債務者ではなく、政府に対して債権者である」という意見もあろうかと思います。しかし、政府は「法人」と「個人(家計)」に対して、徴税権を持っています。
そのため、万が一、政府が単独で破たんした場合、法人と個人が「我々は政府の債権者だから、お金を返せ!」と主張しても意味を成しません。歴史的には「インフレ税」という形での納付方法が最も多いのです。
※参考:『国家は破綻する――金融危機の800年』 第8章 国内債務 インフレおよびインフレ税に関する研究 P200
個人や法人は、有事の際には政府の負債をリカバリーする立場であることを忘れるべきではありません。