日銀の株価下落は「日本国債への信認」が低下している証拠
バブル景気真っ盛りの1988年には、日銀株は75万5000円で取引されていました。今の株価は35,000円です。
28年間の時を経て、価格が20分の1以下まで下落したのです。
日銀の株価下落が止まらないのは、日本国債及び通貨「円」への信認が下がっているためです。2015年度末の日銀のバランスシートを確認してみましょう。
※日本銀行Webサイトより兆円未満は切り捨て/数字を単純化して転記
<日銀のバランスシート>
(資産の部)405兆円
・国債 349兆円
・その他 56兆円
★資産の部合計:405兆円
(負債の部)402兆円
・預金 282兆円
・その他 120兆円
(純資産の部)3兆円
・準備金 3兆円
★負債及び純資産の部合計:405兆円
資産の部の86%は国債で占められています。日銀の出資証券の価値は、資産の大部分を占める日本国債の価値だと見なせます。
このことは、石油会社の株価が、資産の大部分を占める石油価格に連動するのと似たような理屈です。
国債価格は、日銀の「異次元緩和」により偽装できます。しかし、ジャスダックに上場している出資証券については、民間の市場参加者により値付けがされるため、ごまかしがききません。
日銀の株価は、国債の価値や財政信用を測る目安にできるのです。
日銀に投資しているのは誰?
2016年3月末時点で、保有者は次の通りです。
<日銀の出資金額(単位:千円)(保有割合)>
政府:55,008 (55.0%)
個人:39,991 (40.0%)
金融機関:2,229 (2.2%)
公共団体等:181 (0.2%)
証券会社:41 (0.0%)
その他法人:2,546 (2.5%)
政府が55%を保有しています。また意外にも個人の保有が多く、40%を占めています。一方で金融機関(銀行)や証券会社はほとんど保有していません。
40%を占める個人のうち、どこの誰がどのくらい保有しているかまでは情報開示がされていません。
ただ、議決権のない証券であるため、大量保有しても何か権利を行使できるわけではありません。