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ミセス・ミキタニの「楽天ポイント」意外な苦戦と天下取りの条件=岩田昭男

楽天カードだけは好調な伸びを見せる

こうしてリアルでの楽天ポイントはいわば逆風にさらされているといえるでしょう。悪い方向に風向きが変わったのは電子書籍リーダーのKobo(コボ)の取り扱いを始めたころです。

コボの評判が芳しくないのに痺れを切らして、三木谷社長が現場に直接出向いて、コボがいかに素晴らしいかを力説したところ、かえって現場の人間が委縮してしまったそうです。それまで、三木谷社長が現場に出向いてあれこれ商品の内容を説明することはなかったために、余計なプレッシャーを与えてしまったのかもしれません。

もうひとつ、三木谷社長は楽天市場のウェブデザインがよくないといって替えさせているのですが、これも逆効果を与えているようで、デザインを替えた成果はほとんどありませんでした。これまでは良くも悪くもミセス・ミキタニの主婦目線で、緩い管理の中、独自性がでていたのですが、オーナーが直接指導すると現場は緊張することが多いのでしょう。

そして、今年に入ってからアジアやヨーロッパの楽天の海外の拠点が次々と閉鎖しています。インドネシアやマレーシアなどの東南アジアからは完全に撤退し、ヨーロッパではドイツとフランスに集約しています。

その結果、一時は10カ国以上に進出していましたが、今ではアメリカ、台湾など半分くらいになっています。楽天はもともと海外を日本モデルで攻めようとしていたのです。

お得意のポイントサービスを仕立てて、海外でも流行らせようとしたのではないでしょうか。しかし、海外の人たちは日本人ほどはポイント集めに熱心ではないために、顧客集めがなかなかうまくいかなかったようなのです。

だいたい細かな計算が必要なポイントよりは大雑把でも得するクーポンの方が好きなので、こうした見込み違いもあって撤退に追い込まれたのではないかと私は思っています。

そんななかで好調なのは、♪楽天カードマン~でおなじみのクレジットカード、楽天カードです。発行枚数は1200万枚を超え順調に増えています。

楽天カードの穂坂雅之社長はオリックスの出身で、楽天本体の副会長も務めています。どんどん出世して今や三木谷社長に次ぐナンバーツーです。オリックスのかつての同僚はみんな驚いています。

その楽天カードはクレジット機能のほかに楽天スーパーポイント、電子マネーの楽天エディなどを一体化させたものをメインに据えて、さらに会員を増やそうとしています。

Next: Tポイントやポンタを討ち取り、楽天ポイントが天下を取る方法

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