(3)産業競争力や労働生産性が低下する
昨今、とかく「労働生産性の向上」や「産業競争力の強化」が必要だ、と言われるようになりました。
ですが、「生産性」が落ちて「競争力」が低下している最大の原因もまた、デフレなのです。
「産業競争力」の最大の源泉は、各企業の「投資」。
しかし、デフレであれば当然「投資」は冷え込みます。
しかも、「PB制約」があれば「政府」もまた投資しなくなります。実際、デフレになってから、日本の政府による投資は半分以下になりました。
※先進国で唯一公共事業を減らす日本の不見識 – WEDGE Infinity
このままでは、私たちの社会を支えるインフラの「維持」すら不可能となります。そうなれば、私たちの社会の国際競争力はさらに一気に凋落するでしょう。
さらには、デフレになれば「科学技術力」も低下します。これが日本の産業競争力を根底から衰弱させます。
※【藤井聡】鮮明になる日本の科学技術の凋落――「PB緊縮財政」が日本をここまでダメにした – 新経世済民新聞
つまり、PB制約は、デフレを導いて民間投資を冷え込ませると同時に、直接的に政府投資を冷え込ませると共に、科学技術力の凋落も導き、このトリプル効果によって競争力を低下させているのです。
さらには、「労働生産性」が低いのも、デフレが原因。
そもそも労働生産性は、「労働1時間あたりが生み出した付加価値の合計」。そして、付加価値の国民全体の合計がGDP。したがって、GDPが減れば労働生産性は下がって、増えれば上がる、のは当たり前です。
だから、PB制約がデフレを導き、GDPの縮小をもたらし、最終的に、日本の今の低い労働生産性の低下をもたらしているのです。
※【藤井聡】日本経済の「供給力」「生産性」を破壊し続ける消費増税 – 新経世済民新聞
つまり、経産行政で今、最も重視されている「労働生産性」や「産業競争力」を、PB制約は実に様々なルートを通して凋落させているのです。
(4)地方を衰退させている
「シャッター街」や「地方消滅」というキーワードに象徴されるように、今全国各地の地方衰退は深刻な水準に達しています。
これには2つの重大な原因があります。
第1の原因は、デフレ。デフレだから皆、相対的にビジネス環境がよい、都会に人も企業も流れていくのです。結果、デフレになれば東京一極集中と、地方の衰退が同時に加速していくのです。
※藤井聡:「デフレ脱却」こそが各種都市問題の「抜本的な処方箋」である – 京都大学 藤井研究室
もう1つの原因は、地方のインフラ不足。新幹線も高速道路も、首都圏、三大都市圏、太平洋ベルトには豊富に作られていますが、地方部にはほとんど作られていません。これが、地方の衰退を加速させているのです。
※【藤井聡】「真剣」に国土強靱化・地方創生を目指すのなら…… – 新経世済民新聞
そして、PB制約はデフレ化と、地方へのインフラ投資の抑制の双方を導いています。このダブルの効果で、PB制約は地方を疲弊させ続けているのです。