(7)日本が後進国化する
PB制約を日本政府が持ち続ければ、デフレは確実に継続します。その結果、このままデフレが続けば、かつて2割弱もあった日本のGDPの世界シェアは近い将来、メキシコ程度の水準にまで凋落することは避けられません。
※【藤井聡】 日本は25年で、「後進国」化する。 – 新経世済民新聞
同時に、産業競争力も生産性も、はては文化の力それ自身も衰微の一途を辿っています。
これはつまり、日本が近い将来に「後進国」の地位に凋落することを意味しています。
しかも、私たちは自然災害や軍事的な危機に対する強靱性も衰弱し続けています。したがってひとたび何らかの「有事」があれば、十年、二十年という年月を経ずとも、近い将来、私たちは一気に「後進国」に凋落することも十分に予期されるのです。
つまり、PB制約を日本が持ち続ける限り、「日本が後進国化」してしまうことは、避け難い、確定的未来なのです。
以上、PBが如何に日本の「亡国」を導く恐ろしい制約であるかを、ここでは簡潔にまとめました。
読者の中には、ここでの指摘は、過度に悲観的なものではないか――と感じた方もおられるかもしれません。しかし決してそうではない、という一点を、最後に強く強調しておきたいと思います。
なぜなら、今日本はデフレであり、それによって確実に後進国化しつつあり、周辺には北朝鮮、ロシア、中国、アメリカという極めて好戦的な核保有国に囲まれており、しかも、世界中どの先進国にも存在しない、深刻な巨大自然災害の危機に直面しているのです。
ところが、PB制約があれば、政府は最悪の諸事態を避けるための、
「自由」
を奪われてしまうのです。そうなれば、数々の危機に翻弄され、亡国の憂き目にあうことは避けられません。ですが、PB制約が解除されれば、政府は再び、
「国を救うための自由」
を手に入れることができるのです。
そうした自由を私たち日本国家が手に入れるためにも――まずは、「PBによる亡国」をしっかりとご理解いただきたいと思います。
PS1:「PB亡国論」にご関心の方は是非、下記をご一読ください。
※『プライマリー・バランス亡国論』藤井聡 (著) – Amazon.co.jp
PS2:「PB亡国論」について、三橋貴明さんと対談いたしました。ご関心の方は是非、下記ページをご覧ください。
※【特別対談映像】藤井聡(内閣官房参与)×三橋貴明(経済評論家)
『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017/4/25号より
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