「残り」の1億5,000万円の行方は?
ローマクラブの準会員とかいわれる榊原の経歴ははっきりしないが、ZERI財団パン・パシフィック代表部代表理事という肩書が常についてまわっている。
廃棄物を資源として再利用するための研究や事業を行う目的で国連開発計画(UNDP)とスイス政府の出資で設立された財団の環太平洋地域における責任者らしいのだが、その仕事の実態に信用が置けるのなら、吉岡は三井住友銀行からの融資を進めればいいのであって、なにも高利の金融業者を紹介する必要などあるまい。
また、山本が会合で一度しか会っていないと主張する吉岡のことを国会で「知人」とし、証券取引等監視委員会の調査方法に文句をつけたのはどういうことなのか。
榊原の甘言に乗って投資会社の代表取締役におさまり、きわめて私的な問題を、証券取引等監視委員会のあり方の問題にすりかえて国会質問するという、山本幸三の人間としてのレベルの低さには驚くほかない。このような人物が「アベノミクスの仕掛け人」と称され、この国の経済に大きな影響を及ぼしていると考えると、暗澹たる気分にさせられる。
あえて付言するなら、榊原が加藤に借りた2億円のうち5,000万円が設立資金として使われたとして、残りの1億5,000万円はどこに消えたのだろう。まさか山本に資金の一部が流れたとは思いたくないが、そのような疑いを持たれてもしかたがないのではないか。
そもそも単に、投資資金集めの広告塔として使われるために責任ある代表取締役などに就くはずがない。山本はブルーエコノミー・ホールディングの社長になることに、どんな「うま味」を期待したのだろうか。
この件について、解かねばならない謎はまだまだある。国会における野党の厳しい追及を待ちたい。
『国家権力&メディア一刀両断』(2016年9月8日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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