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「マクロン新党」単独過半数獲得でフランスはどんな国に変わるのか?=大前研一

マクロン仏大統領が外交手腕を発揮しました。NATOの会議でもG7でも一番の人気ぶりで、仏メディアもべた褒め状態。6月総選挙では単独過半数を獲得する勢いです。(『グローバルマネー・ジャーナル』大前研一)

※本記事は、最新の金融情報・データを大前研一氏をはじめとするプロフェッショナル講師陣の解説とともにお届けする無料メルマガ『グローバルマネー・ジャーナル』2017年5月31日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に定期購読をどうぞ。
※5月28日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。

プロフィール:大前研一(おおまえ けんいち)
ビジネス・ブレークスルー大学学長。マサチューセツ工科大学(MIT)大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社後、本社ディレクター、日本支社長、常務会メンバー、アジア太平洋地区会長を歴任し、1994年に退社。スタンフォード大学院ビジネススクール客員教授(1997~98)。UCLA総長教授(1997~)。現在、ボンド大学客員教授、(株)ビジネス・ブレークスルー代表取締役。

「マクロンは優秀な奴だ」フランス国中がベタ褒めする理由とは

ルペン国民戦線党首、大統領選敗北後の動向

イギリス紙テレグラフが報じたところによると、フランス国民戦線のルペン党首が、EU離脱とフラン復活を目指す考えを見直すことが明らかになりました。国民議会選挙を6月に控え、党是である反EUのスタンスについて議論を開始しました。予算や銀行規制の制御がもっと自国でできるよう、EU条約に関する再交渉を行うことを党の方針にするということです。

ルペン氏はほとんど立ち直れていない状況ですが、少なくともEU離脱とフランを復活するということは取り下げて、基本的には愛国主義だけで行くというところまで来たということです。これは当たり前だと思います。

マクロン新大統領は国内で大人気

一方、マクロン大統領は、この1週間で信じられないほどの進歩を遂げました。NATOの会議からG7まで、最も人気があったのはこのマクロン氏だったのです。NATOで一番新しい国家元首はマクロン氏でしたが、NATOの昔からのメンバーがやってくるときに、フランス国歌が流れ、彼が反対側から登場するという、ものすごい演出をやってくれました。フランス人から見たらこれはうれしくてしょうがないことです。

また、マクロン氏は投資銀行にいたので、フランス人にしては英語がものすごくうまいわけです。そこら中の人とやりとりをすることができました。そしてG7でも目立ちました。例えばカナダのトルドー首相はとても人気がありますが、彼とマクロン大統領、2人の若いイケメンが並び、周りにはバラがあり、すごく良い印象となりました。フランスはすでに100年前からこの人が大統領だったかのようなムードになってしまったのです。

連立など不要、6月総選挙で単独過半数を狙う

一方、今度の6月の総選挙は2回行われますが、なんと550ほどの議席に対し、428人を候補者にし、マジョリティーを狙おうということをやっています。彼の共和国前進というのは今回新しく作った党で、全員が新しい候補者なのです。それが今のところ、世論調査では300議席ほどを確保すると言われているのです。

428人の候補のうち、300人以上が通ってしまい、結局は過半数となり、連立を組む必要もないという見通しなのです。フランスのテレビを見ているとこのマクロン大統領を褒めちぎっています。選挙の前にあれほど一方の候補を褒めちぎるというのはどうかと思いますが、たまたまNATOとG7があったのでこういうことになったのでしょう。

あと2週間で結果が分かるわけですが、マクロン大統領は与党でマジョリティーとなれば、やりたいことが結構できるわけです。しかも、小池新党ではないですが、本当に300議席まで行ってしまったら、ゼロから政党を作り、共和国前進としてマジョリティーを取ってしまったいうことで、フランスの歴史にもないことです。もともとあった政党はどこへ行ってしまうのかという状況です。

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