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「史上最大のボロ儲け」天才ポールソンの手法から個人投資家が学ぶべきこと=田渕直也

ポールソンから学ぶべきこと、学ぶべきでないこと

さて、以上みてきたように、ポールソンの成功要因は、

  • 専門家の意見に惑わされずに、シンプルな考え方を貫いたこと
  • タイミングが良かったこと
  • とにかくたくさんの取引を行ったこと

でしょう。けた外れの成功には、なんといっても、とにかくたくさんの取引をすることが必要なのです。でもこれは、前回メルマガ(2016年10月30日号)で見たように、一般の投資家には参考になりません。

ここで考えるべきは、ポールソンと一般の投資家の立ち位置の違いです。

ポールソンは、このディールで記録的な成功を収めるまで、ヘッジファンド業界では大物とは言えない存在でした。それでも、一般の人から見れば十分にお金持ちで、失敗しても今まで築いた財産が残るので、無一文になることはありません。

何といってもヘッジファンドが運用するのは人のお金なのです。もちろん、ヘッジファンドでは、マネジャー自身も出資することで投資家と利益を共有するのが基本です。この時のポールソンも多くの自己資金を投じていました。

でも、ファンドが破たんしても、マネジャーが責任を負うのは出資した分にとどまり、それ以外の財産には責任が及びません。

また、米国ではリスクをとって失敗することに寛容な土壌があり、ポールソンがこのディールで失敗して投資家たちが逃げていったとしても、将来再起できる可能性がないわけではありません。

要するに、一世一代の大ばくちに失敗しても、すべてを失うわけではないのです。

一般の投資家は、それとは事情が全く異なります。自分の財産の中から安全に確保しておくべき部分を除いたものが投資資金になるわけですが、その資金のすべてを失ってしまったら投資家としては再起不能となるかもしれません。

さらに本来は安全に確保しておくべき資金まで投入して、それを失ってしまったら、それこそ生活や人生設計にも甚大な影響を及ぼすことになります。

あくまでも一般投資家にとっての投資の目的は、一発大勝負ではなく、致命的な大失敗を避けつつ、長期的なリターンの最大化を目指すことに置くべきなのです。記録的なディールをするために、可能な限りの取引をすることは、適切なものとはなりえません。

Next: 「非対称の収益機会」を最大として、ポジションサイズを調整せよ

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