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「史上最大のボロ儲け」天才ポールソンの手法から個人投資家が学ぶべきこと=田渕直也

ポールソンも「非対称の収益機会」に乗じた

さて、サブプライムローン・バブルは2007年に崩壊しました。そして、ポールソンは巨額の利益を上げることに成功します。その額、およそ1兆4千億円相当。ポールソン自身の報酬は、4千億円相当に上ったと見られています。まさに「史上最大のボロ儲け」ですね。

このときのポールソンの大成功もまた「非対称の収益機会にできる限りのポジションをとる」ことによってもたらされたものです。

ポールソンが行ったCDSという取引は一種の保険のようなもので、保険料に相当する一定額を支払う代わりに、特定の証券化商品などが債務不履行になったときに大きな補償金(保険金のようなもの)を受け取れる取引です。

こうしたディールの損失は、何も起きなかったときに支払った保険料が無駄になってしまうこと。これに対して、証券化商品が債務不履行になった場合には、巨額の保険金を受け取れます。損失は限定的で、利益は巨大というわけです。

もっとも、こうした取引では普通、

  • 支払保険料の料率=保険金×それを受け取れる確率

という関係が成り立っているはずで、そうであれば期待リターンはゼロのままです。

ところが、バブルの際には、誰もがリスクを意識しないので、

  • 支払保険料の料率<保険金×それを受け取れる確率

という関係が生じるのです。

バブルが進むと「(バブルが崩壊したときに)保険金を受け取れる確率」がどんどん膨らんでいきます。でも、市場参加者は浮かれているので、本来ならリスク見合いで上昇するはずの保険料が全然上がらないわけです。

ポールソンが目を付けたのはまさにこの点でした。彼は、真に非対称な収益機会を見つけたのです。

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