安倍首相がトランプに会いに行く意味
安倍首相が急いでトランプに会いに行ったのは、日本政府がトランプにコネクションを持っていなかったからです。なにしろ、トランプが勝つなんて微塵も思っていなかったので、選挙前にはクリントンだけに会いに行って、「大統領になった時にはよろしくお願いします」と挨拶したのでした。
ところが、選挙の結果はトランプの勝利。日本政府はもちろん、外務省のエリート官僚の皆さんまでもが完全ノーマーク。いまや日本のお家芸になっている「想定外」だったのです。
これはすぐに関係を構築しなきゃいけないとなって、下っ端のポンコツ官僚がキャビンアテンダントに偉そうな態度を取りながらビジネスクラスでアメリカに飛び、「どなたか日本の話を聞いてもらえませんか?」とかやっても相手にしてもらえないので、トップ会談を仕込み、トランプとの関係を築こうとしました。
本当だったら、まだ大統領になっていない人物をもう大統領になったかのように扱って会いに行くなんて、現大統領に失礼なので遠慮するところですが、「アメリカに捨てられたら日本は終わり」と考えているので、デリカシーとか言っている場合ではないと判断したのでしょう。
まずはトランプと個人的に仲良くなること。これこそ安倍首相に課せられた最大のミッションであり、ついでに今後の自民党のCMに使えるトランプとの仲良し写真を撮影できたらいいなと思っていたに違いありません。
さて、肝心の結果はどうだったのかと言うと、どうやら安倍首相は完璧にミッションをこなし、トランプと仲良しになることに成功。
安倍首相とトランプには「大のゴルフ好き」という共通点があり、外務省の職員が本間ゴルフ八重洲店で買ってきたゴールドの特注ゴルフクラブ(1本50万円)をプレゼントすると、トランプは「飛びそう!」とご満悦だったそうで、トランプも安倍首相にシャツなどのゴルフ用品をプレゼントしたそうです。
当初は45分の会談予定が90分になるほど盛り上がり、感情でモノを決めそうなトランプに「安倍ちゃん大好き!日本最高!」と思ってもらうことに大成功。トランプは叩かれまくったのでマスコミが大嫌い、安倍首相は寿司とゴルフでマスコミをアンダーコントロールしているので、どんな会談だったのかという話は「非公開」とされ、どうでもいいゴルフの話ぐらいしか出てこないのですが、まずまず悪くはなかったものと思われます。
今回は政治的な話というより、個人的に仲良くなることが優先されたかもしれません。米軍の基地問題やTPPの話がどこまでできたのかはベールに包まれたままですが、いきなり難しい話を切り出すよりは、「引き続き日本をよろしくね!」という挨拶がメインだったと思われます。