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日経2万円割れは「並ばず買えるバーゲンセール」もちろん買いで勝負だ=江守哲

著名ヘッジファンド創業者が描く日本株の強気シナリオ

ロイターに興味深い記事が掲載されていましたので、ご紹介します。

香港を拠点とするヘッジファンドであるオアシス・マネジメントの創業者であるセス・フィッシャーCIOは、「日本の企業統治改革が一段と進展すれば、日経平均は5年で2倍になる可能性がある」としています。しかし、「改革の道のりはまだ遠い」としており、今後の動きに期待を寄せています。

フィッシャー氏は、「日本の企業統治改革は現段階でマラソンに例えると最初の5キロ地点を終えた程度」としています。そのうえで、「その時点のタイムが良くても満足とは言えない。もちろん気分は良いだろうが、まだまだ先は長い」との認識を示しています。なかなかわかりやすい表現ですね。

一方で、核心を突いた発言もしています。それは、「企業統治が改善すれば、利益率上昇やバランスシートが今よりはるかに効率的に使われるなどのプラス効果がもたらされ、株主資本利益率(ROE)が劇的に向上する」という発言です。さらに、「そうなれば、日経平均は3年から5年で2倍を超える上昇となってもおかしくない」としています。

日本企業のROEが低いのは有名ですが、これを引き上げるのは非常に難しいとみられています。日本企業のROEは8%前後であり、世界標準の15~18%を大きく下回っています。しかし、フィッシャー氏は「到達できないという理由はない。実現は可能だ」としています。

東芝や任天堂も保有するオアシスの投資スタイル

オアシスは自らを「アクティビスト」ではなく、「対話する株主(engaged shareholder)」と位置付けています。そのうえで、中長期的な企業価値向上を目的に、徐々にエンゲージメントのステップをエスカレートさせていく手法を採用しているといいます。

同社は13年から数年にわたり、任天堂に対してスマートフォン向けゲーム市場への参入を求めたことなどで知られているようです。現在、任天堂の株価は安値から上げてきており、フィッシャー氏は「任天堂については、我々は現時点では満足した株主だ」としています。また、同社は東芝株も保有しているといいます。その理由は「これまでに株価が大幅に下がり、下値余地が限られているため」としています。なかなか面白い着想だと思います。

ロイターによると、一部の投資家は東芝の再建に日本政府が関与するのは、企業統治改革の精神に反するとみています。しかし、フィッシャー氏は「私は株主の権利を強く提唱しており、株主利益を最大化する上で資金と時間を投入する準備がある。だが国益が絡むとなれば、政府が動くことに問題は感じない」としています。見る人やその角度によっては、投資対象企業の価値も変わるということですね。

同社は日本株について「コーポレートガバナンス・コードの導入以降日本への投資を引き上げている」としています。そのうえで、総資産の50~60%を日本市場に投じており、1000億円以上の投資残高を有しているとしています。

東芝株については、過去にも解説したように、注目している海外のヘッジファンドが少なくありません。今後は私も注目していきたいと考えています。もっとも、投資するかどうかは別ですが。

なお、繰り返すように、最終的な投資判断は自己責任でお願いします。
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2017年7月31日号の目次

・マーケット・ヴューポイント~「原油が上げてきた」
・株式市場~米国株は上昇相場に乗り続ける、日本株は2万円割れで買い
・為替市場~ドル円はサポート割れで下落基調へ、ユーロは上昇基調が継続
・コモディティ市場~金は大幅上昇、原油は依然として割安圏
・今週の「ポジショントーク」~長期投資の方針は変わらず
・ヘッジファンド投資戦略~「日本株に強気な声も」-投資戦略構築のポイント
・ベースボール・パーク~「週末は高校野球観戦」
・セミナー・メディア出演のお知らせ


本記事は『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』2017年7月31日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方は、8月分すべて無料の定期購読手続きを完了後、7月のバックナンバーをお求めください。本記事で割愛した米国株式、為替、コモディティ各市場の詳細な分析(約18,800文字)もすぐ読めます。

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株式・為替・コモディティなどの独自の市場分析を踏まえ、常識・定説とは異なる投資戦略の考え方を読者と共有したいと思います。グローバル投資家やヘッジファンドの投資戦略の構築プロセスなどについてもお話します。さらに商社出身でコモディティの現物取引にも従事していた経験や、幅広い人脈から、面白いネタや裏話もご披露します。またマーケット関連だけでなく、野球を中心にスポーツネタやマーケットと野球・スポーツの共通性などについても触れてみたいと思います。

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