ベーシックインカムに対して「私たちが抱くべき疑問」
ユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)の導入を進めようとしているヨーロッパ諸国や米国、そして日本は、「ベーシックインカムとは、最低限の生活を送るために必要な現金が政府から毎月支給される制度である」と国民に理解させようとしています。
ユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)には、生活保護を申請する時のような厳しい受給要件がなく、すべての人々が生まれたときから死ぬまで、その恩恵に預かる権利を有しているという点で、「終身生活保護制度」と呼ぶべき制度です。
私たちは、ここで大いに疑問を抱く必要があるのです。
いったい何のための制度なのか?なぜ、ここにきて、それも世界中で、ベーシックインカムの議論が沸騰しているのか?なぜ「ユニバーサル」なのか?
メルマガのパート1では、ケーススタディーとして、世界で最初のUBI仮想通貨・グラントコイン(Grantcoin)が、すでに流通していることについて紹介しました。
グラントコインは、ユニバーサル・ベーシックインカムを推進している米国の非営利団体「グラントコイン財団(Grantcoin Foundation)」が、ブロックチェーン技術を使って考案したデジタル通貨です。
ブロックチェーンの鎖につながれる社会
「グラントコインは、社会的地位や職業的立場にいっさい関係なく、財源を個人に均等に配分する、金融面での不平等に対する潜在的な解決策である」と、グラントコイン財団の創立者であり、エグゼクティブ・ディレクターのエリック・ステットソン(Eric Stetson)は熱く語っています。
「グラントコインのUBIプログラムは、貧困に苦しんでいる無数の人々の生活の質を向上させる貴重な社会的プログラムとして、明るい将来が約束されていると分かるはずだ」と。
実際に、グラントコインは、既存の社会福祉プログラムの代替手段としても高く評価されています。
しかしこれは、メルマガパート1でも示唆したように、ユニバーサル・ベーシックインカムの推進者たちは、究極的には、世界市民ひとりひとりのIDをブロックチェーンによって管理することを考えているということです。
そのために、経済価値を伴ったグラントコインを希望者に配布(個人情報を手渡すことが条件)しているのです。