前回の記事で9月末までドル高が続くと書きましたが、ドル円はこの後、今月中にピークを打ち、再び円高へと流れが変わる可能性が高いと考えられます。(『長谷川雅一のハッピーライフマガジン』2017年9月26日号より)
プロフィール:長谷川雅一(はせがわ まさかず)
1959年、岐阜県生まれ。株式会社プレコオンライン(金融商品取引業)代表取締役社長。2000年より株式投資の研究を始め、日本で初めて「株の自動売買」という言葉を使った著書を出版。株式投資の世界では、「株の自動売買」ブームの火付け役として知られている。現在は、自動売買ソフトの開発、投資教室、メルマガの執筆など、多忙な日々を送っている。
偶数月は円高に? ボックス形成中のドル円はゆるやかな円高基調
為替相場の「安定感」
2016年11月からの、いわゆる「トランプラリー」が終わったあと、米ドル/円は、115.00円付近をピーク、107.00円付近をボトムとする「ボックス相場」を形成しています。
115.00円に近づけば、ドルが売られてレートは下落し(円高になり)、逆に、107円に近づけば、ドルが買われてレートは上昇する(円安になる)というくり返しで、どちらかに「行きすぎる」ことがありません。
このように、為替相場に一定の「安定感」があるためか、このところ日米両国政府から、「ドルが高すぎる」とか、「円が高すぎる」といった為替に関するコメントが、ほとんど聞かれなくなっています。
ドル円相場は、
- 3月、5月、7月、9月といった「奇数月」はドル高(円安)
- 4月、6月、8月といった「偶数月」はドル安(円高)
というように、値動きの周期まで規則的になっています。
米ドルと円の力関係が「均衡」している
ドル円相場が安定している理由は、現在、米ドルと円の力関係が「均衡しているから」でしょう。
アメリカの利上げペースはゆるやかであり、日本の金融緩和にも、そろそろ限界が見える中、かつての「アベノミクス相場」で見られたような、極端な円安(ドル高)圧力はありません。
また、トランプ大統領就任時に心配された、アメリカの「ドル安(円高)政策」の動きもありません。アメリカが、「ドル高は困る」と「ドル安(円高)」を押しつけてくるかもしれないという見立ては杞憂に終わり、極端な円高も起こりづらくなっています。
その結果が、107.00円~115.00円というレンジ内での「ボックス相場」なのでしょう。
ドル高は長続きしない
ただ、米ドル/円のチャートを細かく見ると、その「均衡」は、やや「円高」方向にバイアスがかかっていることがわかります。ドル円相場のトレンドは、ゆるやかな「円高」なのです。
この7月以降、ダラダラと長期間、円高が続きました。マーケットは、「このまま円高が永遠に続くのではないか」というムードにすら、なっていました。
しかし、9月11日以降、いきなりドルが買われ始めました。ドル高の流れになると、こんどは、「このままドル高が続きそうだ」というムードになりがちですが、実はドル高は、あまり長続きせず、円高傾向の期間の方が長いのです。それはチャートを見ればハッキリわかります。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)
たとえば、今のドル高が始まる前、ほぼ2ヵ月近く(7月12日から9月8日まで)、米ドル/円は売られ続けました。そのあと、9月11日からドルが買われ始め、9月21日までドル買いが続きましたが、わずか10日間の上昇後、9月22日(金)からは早くも上値が重くなっています。