北朝鮮リスクという「目いっぱい盛り上げなければいけない劇場」
結論から言うと、北朝鮮リスクは、今年12月あたりが「最大の緊張のクライマックス」となり、それ以降は徐々に峠を越えるのではないでしょうか。それまでは「北朝鮮リスク」は高まる一方かもしれません。
スティーブ・バロンが「北朝鮮リスクなんてあり得ない。米朝の軍事衝突なんて起こりえない」と本当のことを言ってしまって、トランプ大統領の逆鱗に触れて政権を去ったことは記憶に新しいですね。
トランプ政権が、これから「軍事オプションを最大限に利用して、北朝鮮をとことん脅しまくって、奥歯をがたがた言わせ、北朝鮮から最大限の譲歩を引き出そう」として腕まくりしている矢先に、「北朝鮮への軍事オプションなんか無いよ」と本当のことをしゃべるバロンは、政治家としては失格で、国賊だったのです。
安倍首相とその側近たちは、「今のうちに解散すれば、北朝鮮リスクで不安をあおれるから、選挙に勝算あり」と読んだようです。今回の解散総選挙は、人呼んで「今のうち解散」というらしい。
安倍自民党政権としては、民主党が代表選後、山尾しおりさんのスキャンダルで躓いて(つまづいて)くれたし、小池新党「希望の党」の設立の動きは少々遅かった。北朝鮮が北海道に向けてミサイルをバカスカ打って、米朝の口撃がエスカレートしてくれているし、選挙には「良いことづくめ」です。
安倍自民党政権は、「今がチャンス! 今のうちなら解散選挙に打って出ても勝てる!(このチャンスを逃したならば、もう勝てないかもしれない…)」と読んだものと思われます。
最後まで「軍事オプション」を匂わせておきたいアメリカ
では、「北朝鮮リスク」はいつ頃に峠を越えてくれるのでしょうか。
アメリカ側が「再び対話に出る」にしろ「(可能性は低いが)軍事オプションに打って出る」にしろ、まずは中国と詳細を調整してからというのが必須条件になります。
アメリカとしては、中国には最後の最後まで「アメリカの軍事オプションは本気だ!本気だ!」と、オオカミ少年の役目をぜひとも担ってもらう必要があるのです。ところが、その中国は、今は共産党大会(10月18日から~)が終わらないと「なかなか熱心には身動きがとれない状態」。
一方、トランプ大統領は、11月初旬から中旬のアジア歴訪の旅を予定しています。11月初旬には日本・韓国・中国と歴訪の旅を、11月10日から中旬にかけては、APECや東アジアサミットを予定しているのです。
これらの日程をこなした後、トランプ大統領は中国・韓国・日本と幾度も詳細の調整を行って、「北朝鮮から最大限の譲歩を勝ち取って、米朝二国間平和協定への第一歩」へと打って出るのではないでしょうか。
それまでは、米朝の熾烈な口撃の応酬はエスカレートするばかりなのではないでしょうか。