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トランプが巻き起こすアメリカ不動産バブルと「日本バッシング」の正体=吉田繁治

トランプの対日戦略(1)~標的にされたトヨタ

トヨタ自動車がメキシコに対米輸出用の新工場を建設することに対し、トランプは、米国の雇用を奪うとして、建設を実行するなら高い関税を課すとツイッターに書き込んでいます(1月4日)。

従来、この種のことに大統領が介入することはなかった。これは、メキシコ、カナダとの間の自由貿易協定(NAFTA)の見直し(廃棄)と関係しています。

このためトヨタは慌てて、米国への1兆円の工場投資を発表したのです。トヨタは、米国に10カ所の工場をもち、13万6000人を雇用しています。日本の大手製造業の対外売上のほぼ50%を、海外の現地工場が占めています。

保護主義に回帰するアメリカ

以上の動きは、1990年代から世界で進行してきた「グローバル経済」に棹(さお)をさし、保護主義に転換することを示します。保護主義とは、輸入品への課税であり、輸入品の価格を上げることです。

関税が課されると、米国での中国製品、日本製品および原油の価格は上がります。価格の上昇は消費の減少をもたらし、中国、日本、産油国の輸出企業の売上を減らします

このため世界経済の観点では、経済成長率の低下に繋がります。加えて世界では、減少する米国輸入のため生産力の超過が起り、デフレ傾向が起こります。

1930年代の保護主義は米国の恐慌を拡散させた

1929年からの米国大恐慌のときは、米国が輸入を減らす保護主義に走ったため、その恐慌が日本と欧州を含む世界に波及しました。これが、第二次世界大戦の経済面での原因になったのです。

日本の国民所得は、1929年を100としたとき1930年に81、1931年には77へと減少しています。これはGDPが23%減ったのと同じです。

この恐慌のときは、米国のGDPは1929年に対して29%減少しました。このGDPの減少は、そのまま個人消費が減ることであり、米国の個人消費の減少が輸出国の輸出を50%に減らしたのです。このため欧州と日本に波及したのでした。

トランプの米国第一を基本政策に掲げる保護主義では、大恐慌のときのような米国のGDPの激減(29%)はないので、輸入の減少(中国、日本、欧州からの輸出減少)も、当時ほどではない。それでも保護化により、10%程度の輸入減少はあるかもしれません。

米国は日本に武器を輸出する

トランプは日本に、米国の最強分野である武器の輸入を勧めるはずです。軍事を増強したいと常々考えている安倍政権は応じるでしょう。軟弱外交と非難されるくらいリベラルな色があったオバマとは、様変わりします。軍事力が外交を決めるという、リアル・ポリティックスの立場に立つからです。

Next: トランプの対日戦略~TPP(環太平洋経済連携協定)離脱の影響は?

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