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トランプが巻き起こすアメリカ不動産バブルと「日本バッシング」の正体=吉田繁治

軍事費25%増強という政策を背景にした強硬な外交

トランプは、オバマ政権が8年間減らし続け、$8000億(94兆円:日本の5兆円の18倍)になった国防費を$1兆(117兆円)に増やすとも言っています。

陸軍の軍人を54万人(10万人増加)にし、海軍の艦隊も500隻(現在は400隻)にする予定です。空軍でも、戦闘爆撃機を2400機へと20%増やす。オバマ政権に対しては、対中国と対アラブで「軟弱外交」との非難がありました。

25%増える国防費をまかなうにはGDPの増加が必要であり、現在は年率2.5%程度でしかない米国GDPの成長を4%に上げるとしているのです。

リアル・ポリティックス

軍事力の増強が外交(対外的な政治)の強化である」という考えは、我が国にはない。しかし国際関係の「リアル・ポリティックス」は、今も軍事が基盤です。リアル・ポリティックスとは、理念、思想、イデオロギーではなく力関係で政治を見る見方で、その力の中核は軍事です。

対イラン戦略

オバマ大統領はイスラエル政府に、ヨルダン川西岸への入植をやめるよう圧力をかけ、パレスチナ国家建設の支援をするとも表明していました。オバマは親イスラエルとは言えなかった

一方トランプは、イスラエル右派、および右派の党首ネタニアフ首相(2009年~)と、30年におよぶ近い関係をもっています。イスラエル右派は、聖地パレスチナにユダヤ人国家を作るという「シオニズム」を奉じています。中東の問題のコアは、このシオニズムです。

トランプの支援をした米国のシオニストでカジノ王のシェルドン・アデルソン氏は「イランを核攻撃すべきだ」と述べています。

トランプは、米国にいるシオニスト(金融と事業家)の支援により大統領になったとも言われています。トランプは、オバマのような反シオニズムにはなり得ません。こうした背景から、トランプ大統領はイランとの核合意を廃棄し、イランの核施設を攻撃するのではないか、という推測が流れています。

そうなればイラン戦争が起こり、中東全域が激動します。中東に石油を83%依存し、ホルムズ海峡が運送経路である日本にとって看過できない問題です。

イラン攻撃の可能性を証明するかのように、国防長官には、海兵隊出身で「Mad Dog(どう猛な犬)」と言われるジェームズ・マティス氏が任命されています。前方展開の海兵隊は、陸軍のような議会の承認ではなく、マティス長官の緊急指令によって戦闘を起こせるからです。

対中国戦略

2016年12月2日のことでした。台湾の蔡英文総統が当選祝いの電話をかけてきたとき、トランプは自らその電話に出て、蔡大統領という敬称を使ったのです。これは「2つの中国」を認めることになります。

早速、中国政府は厳重に抗議しましたが、トランプは意に介さない。

中国にとって台湾問題は、国家の成立にかかわる原理問題です。地図では「台湾省」とされ、自治区のような扱いです。台湾は国連にも加盟していません。

日本も、台湾と貿易はあっても独立国家としての承認はしていません。北朝鮮、パレスチナと同じように、公式には国家としていない。中国が実効支配する地域という見解です。

それをトランプはいとも簡単に、世界政治のタブーを破ったのです。他にもトランプは、中国のダンピング輸出を、米国の雇用を奪うと非難しています。

コンピュータでは、米国の輸入全体の66%を中国製品が占めています。電話では57%です。対中貿易赤字は$3200億(37兆円)です(2013年)。ただし、この電子機器の対中赤字の多くは、中国や台湾で生産しているアップルなどの米国企業が作ったものです。

トランプは、米国第一のために、WTO違反の対中特例関税も示唆しています。そうなると中国も、米国製品への関税を強化します。

大統領就任後、トランプと習近平国家主席との間に会談がもたれますが、トランプが「2つの中国」に固執すれば、共同声明が何であれ、事実上の決裂となるでしょう。トランプの対中戦略は、予断を許さない部分です。

中国からの対米輸出には、中国で生産する日本企業のぶんが多く入っています。中国の輸出の50%は、外資企業によるものです。保護貿易の報復合戦になると、日本企業の対米輸出もマイナスの影響を受けます。
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【2017年1月11日 862号 トランプ政策の世界への影響予測~目次】

※印は本記事で割愛した項目です

1. 前号の骨子(※)
2. 13%の円安と、13%の日本株の上昇(※)
3. $3兆の、タックスヘイブンマネーの回帰による株価上昇(※)
4. ドッド・フランク法の廃止による金融の自由化
5. 米国第一の、エネルギー自給の確立という政策(※)
6. TPP(環太平洋経済連携協定)への反対
7. 増強する軍事力を背景にした、強硬な外交
8. 対日戦略
9. トランプの二つの顔(※)


※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2017年1月11日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した内容もすぐ読めます。

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ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊を超える情報価値をe-Mailで』(2017年1月11日号)より一部抜粋、再構成
※記事タイトル、本文見出し、太字はマネーボイス編集部による

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