アメリカの予告
アメリカがTPPを破棄して、その代りに日本と「2国間の貿易協定」を結ぼうとしており、その場合「為替操作防止」について「極めて厳しい規定を入れる」と予告していることは、ご存知の通りです。
僕はこれが、日本にとって「大きな問題」になると考えています。トランプ新大統領は、なぜか「貿易赤字」に過敏に反応します。
自国の貿易収支を改善したければ、自らの「減税、インフラ整備、規制緩和」という政策を撤回して、ドルを安く誘導すれば簡単に実現できるのですが、それをやろうとはせず、「日本などが不公平な貿易をしているから貿易赤字になるのだ!」と他国の「せい」にするわけです。
また、同じ白人国家である「ドイツ」については、なぜか貿易赤字について、あまり文句を言いません。彼は、有色人種の国家に対して「牙をむく」のです。その意味でも日本は不利です。
「平成のプラザ合意」がある?
1985年(昭和60年)に「プラザ合意」というものがありました。1ドル=240円だったドル円は、約1年で150円まで円高となり、さらに1年後には120円と、「プラザ合意」前の2倍の円高水準になりました。
トランプ政権発足直後に、浜田内閣官房参与が、「また、プラザ合意のようなことがあるかもしれない」と発言しました。
状況から、実際に今回また、似たようなことになる可能性があると言えないでしょうか?「平成のプラザ合意」があるかもしれない、ということです。
「プラザ合意」のとき、「為替相場の安定化を図る」という名目で、日本は円高を受け入れることになりましたが、その実態はアメリカの利益追求でした。
今回は「為替操作防止」という名目で、アメリカから円高圧力がかかる可能性があります。
円高でも日経平均は大丈夫?
「最近は、多少円高が進んでも、日経平均は平気で上昇する。『円高=株安』という連動性は薄れた。もう大丈夫だ」という声が聞かれます。しかし、僕の考えは少し違います。
確かに、115円~113円まで円高が進んでも、日経平均はあまり影響を受けませんでした。
僕は、「このレベルならまだ円安水準だから、日経平均への悪影響が少ないのだろう」と考えています。「円高だと言っても、110円台なら大丈夫」ということではないか、と。つまり、円高がもっと進めば、必ず影響は出てくると思うのです。
日本にとって大丈夫な為替水準は、アメリカにとっては不利です。113円~115円は、日本にとっては大丈夫。すなわち、アメリカにとっては「不公平」な水準であると思われます。