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ビットコイン版「バブルの物語」いつか死ぬまで踊り続ける覚悟はあるか?=鈴木傾城

「ITバブル」の教訓――確かに世界は変わったのに

現在の世の中は、「デジタル化できるものはデジタル化される」という法則が働いている。

紙幣やコインはデジタルに置き換えられやすい物体なのだから、遅かれ早かれデジタル化の波に飲まれていく。その先駆けに暗号通貨という仕組みがあり、ビットコインがある。

しかし、だからと言って全財産をそこに賭ければ勝てるという単純なものではない。これは、1990年代末期から2000年代初期にかけて起きた凄まじい「インターネット・バブル」を見ても分かる。

当時のメディアは「インターネットは世界を変えるシステムだ」と煽って煽って煽り立て、投資家も熱狂の渦に巻き込まれてナスダック総合指数は過熱した。

シリコンバレーでも続々と新しいベンチャーが立ち上がっていたが、まだ事業も軌道に乗らず1ドルも稼いでいないのに、数千億単位の投資資金がなだれ込むほどの熱狂だった。

当時は投資家なのにインターネット関連に投資しない人間は「愚か」「時代遅れ」と言われ、インターネット関連株を注意深く避けていた投資家ウォーレン・バフェット氏は「もう投資家として終わり」と嘲笑されていた。

利益を大して生み出していない企業も、ただインターネット関連というだけで「将来性がある」と言われ、PER(株価収益率)が100倍や200倍でも平気で買い上げられた

「インターネットは世界を変えるのだから、PERが100倍以上でも評価できる。時代はニュー・エコノミーに入ったのだ」と、人々は途方もない高評価を臆面もなく正当化した。

かくして1996年頃までは1000ポイント程度でしかなかったナスダック総合指数は、インターネット・バブルが頂点に達した2000年には5000ポイント台をつけていた。相場は5倍も跳ね上がっていたのである。

この5倍に跳ね上がったバブルが崩壊したのは2000年3月10日だった。5048ポイントだったナスダック総合指数は、その7ヶ月後には1114ポイントにまで下落していた。

何のことはない。バブルが弾けるとバブルが起きる前の価格に戻ってしまったのである。ピーク時から78%近い下落だから、バブルに踊っていた投資家のほとんどが「壊滅」と言ってもいいような損失に見舞われた。

利益を生み出していない多くのインターネット企業は淘汰されていき、ナスダック総合指数は2009年まで地を這うような低迷を余儀なくされた。

Next: 「途方もない高評価」に乗るのは自殺行為。暗号通貨はどうだ?

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