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2018年夏上陸「日本版グラミン銀行」はサラ金とこの国の貧困に勝てるか?=田中優

なぜ男性ではなく女性に融資?

その効果はてきめんに現れた。平均貸出額は1万円にも満たず、人々は借りたお金を使って住まいの土地を洪水時にも水没しないように盛土し、室内で雨に濡れずにすむように屋根にトタンを貼った。

なんとそれまでの彼らは、雨の降る室内に住み、洪水の時期には水の中で寝ていたのだ。雨に濡れなくなれば、内職ができるようになり、病気にならずに生きられるようになる。

そして、その融資は次第に女性たちに傾くことになる。男はカネを得たとしても次のステップやギャンブルに使ってしまうが、女性たちは子どもを学校に行かせたり、1日1回だけだった食事を2回以上へと増やしていく。再生産のためにお金を使うのだ。

その点では、女性たちの方が適していた。次第に女性たちへの融資が大きくなり、現在では、ほとんどすべてが女性に対する融資となっている。

彼女らにとっても、1回目の融資が返済できないようなプランだったら、次の人が融資を受けられなくなってしまう。そのためグループで事業を手助けし、良い返済プランになるように協力して進めるのだ。

また同時にグラミン銀行が取り組んだのは、貧しい人たちに小規模でも貯金をさせることだった。やがてグラミン銀行はその小さな貯金から融資ができるようになり、全額自給できるようになって、国際機関からの融資も全額返済した。

バングラ最大の銀行に

その頃にはグラミン銀行はバングラデシュで最大の銀行となり、設立したグラミン・フォンは携帯電話の事業では国内最大のものとなっていた。それが2006年のノーベル平和賞受賞につながっていったのだ。

グラミン銀行の金利は現地では低利なのだが、日本から見ると高金利であるように感じるかもしれない。金利は必ず、その社会のインフレ率とパラレルに動く。融資を行っても、金利以上の上昇率でインフレが起きてしまえば、貸し出した時よりも実質少ない返済金額しか得られなくなってしまう。そのため、金利はインフレを割り引いて考えなくてはならない。

このグラミン銀行事業が成功したことから、世界中で新たな「グラミン銀行」同様の銀行作りが始まった。「マイクロファイナンス」という言葉で、それまで金融にアクセスできなかった人々にその可能性を提供したのだ。

Next: 「日本版グラミン銀行」に立ち塞がる我が国の問題点

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