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【展望】注目イベント多数で警戒ムードも、市場は徐々に明るさを取り戻そう=馬渕治好

来たる花~今週(3/13~3/17)の世界経済・市場の動きについて

<今週のイベントを越えると明るさが見えそうだが、米予算教書はあきれかえる体たらく>

(まとめ)
今週は、大きなイベントが多いです。それは、これまで当メールマガジンで繰り返し述べてきた、米国における予算教書発表FOMC債務上限の復活と、オランダの総選挙です。また週末にドイツで開かれるG20財務相会合で、為替が材料になる可能性が強まっています。

これらのイベントの前には、様子見気分が市場で広がると思われますが、最終的に投資環境を揺るがすようなものとはなりにくく、徐々に市場は明るさを増すと見込みます。また国内株価については、今週とは限りませんが、いずれ国内機関投資家の決算対策売りが一巡することも、明るい材料として挙げられます。

ただ、予算教書については、トランプ政権としては相変わらずのことで驚くべきではないのですが、開いた口がふさがらない体たらくだと言えます。

(詳細)
今週は、以下で述べるようにイベントが多く、イベントの前は、内外市場で様子見気分が広がり、株価などがこう着ないし軽い下押し商状に陥る恐れがあります。ただ、そうした諸イベントで、投資環境が大きく悪化することも見込みにくいため、先行きは主要国の株式市場などに、明るさが戻るものと考えられます。

また、国内株価については、今週とは限りませんが、いずれ月内に、国内機関投資家の決算対策売りが一巡することが、好材料になるものと予想されます。

そうした諸イベントについては、当メールマガジンで何度か述べてきましたので(たとえば先週号の「盛りの花」)、繰り返しは避けようと思いますが、その後の追加情報を中心に述べると、次の通りです。

1)米予算教書発表
当初は3/13(月)ではないか、との観測がありましたが、3/10(金)にスパイサー大統領報道官が記者会見を開き、3/16(木)に予算教書が米議会に提出される、と述べました。それはよいのですが、この予算教書は骨格のみだ、と記者会見で公表されています。

骨格のみだ、という意味は、税制改革などが含まれていない、という説明です。減税をどのくらい行なうのかが示されないまま、つまり歳入の額がどうなるのかの方針が全くないまま、予算教書が作成されるというのは、笑止千万です。

では、いつ減税の具体策が出るかと言えば、5月になるだろう、とのことです。

何度も当メールマガジンで述べているように、トランプ大統領の選挙時の公約やその後の諸発言は、何も考えずにいい加減なことを言ってきただけです。したがって、法人減税や所得減税、インフラ投資などについても、そのいい加減な大風呂敷を、実現可能な政策に落とし込むのに、とても時間がかかっているわけです。その点は当メールマガジンで何度も指摘しているくらいですから、別に驚くようなことではありません。

ただ、経済政策に関する具体的な諸点をきちんと詰めることができないまま、ほとんど中身がない予算教書を提出して平気だ(しかも慣例より、提出がはるかに遅れています)、というのは、トランプ政権のダメさ加減はこのくらいだろう、という見込みをはるかに凌駕するダメさ加減で、開いた口がふさがりません。

トランプ政権に対する失望が米国市場で広がるかもしれませんが、最初から期待する方がおかしい、という当メールマガジンの主張が、一段と確認される展開だと言えます。

ただ、米国経済は、減税が全くなくても、インフラ投資が全くなくても、堅調です。トランプ政権の動向はやはり全く無視して、米経済や米企業収益の実態だけを見て、投資すべきだと言えます。

2)FOMC
3/14(火)~3/15(水)に開催されます。0.25%幅の利上げは、ほぼ確実だと言えましょう。

ただ、連銀内部の空気を探ったところ、今回早期に利上げを行なったことで、市場で「これまで年3回の利上げになるだろうと、連銀は語ってきたが、この調子では年4回になるかもしれない」という観測が広がることは牽制したい、との考えがあるようです。

このため、声明やFOMC後の議長の記者会見で、金利先高観を意図的に抑制しよう、と連銀が図った場合、それが逆に金利先高観を抑制しすぎて、米長期金利の低下や米ドル安が(短期的に)生じる展開は、警戒すべきだと考えます。

Next: 3)米債務上限の復活 と 4)オランダ総選挙の見通しは?

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