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偶然ではない、森友学園問題と「南スーダンPKO撤収」を結ぶ点と線=近藤駿介

すべては稲田朋美防衛大臣に対する「駆けつけ警護」だった

「活動終了の判断は総合的に勘案した結果で、治安悪化を理由とするものではない」

菅官房長官は記者会見で、南スーダンPKO撤収の理由は現地の治安悪化ではなく、施設部隊の派遣が今年1月で5年の節目を迎えたことによるものだと強調した。

しかし、節目を迎えるという理由で唐突にNSCを招集するというのは、いかにも説得力が乏しい説明である。こうした弁解じみた発言が、南スーダンPKO撤収を決めたのは国内事情によるものだということを物語っている。

森友学園問題と南スーダンPKOという2つの点は、ある人物によって結ばれている。それは稲田朋美防衛大臣である。

「国会議員の先生は私を全然知らないと言っておりましたけど、よく存じ上げている方もいらっしゃいますね。そして10年前にしか会っていませんと仰ってましたけど、そんなことはないですよね。2年ほど前にお会いしたことがあるんじゃないかと僕は思います。ある特定の会合の中で」

籠池理事長は唐突な記者会見の2日前に公開した動画の中で、暗に稲田防衛大臣に対してこのようなコメントをしている。

翌9日、この籠池理事長の発言を受けてマスコミの質問を受けた稲田防衛大臣はノーコメントを貫き、出席した参院外交防衛委員会の委員会室前で待ち構えているマスコミを避けるために傍聴用の出口から脱出するという離れ業まで見せた。

稲田防衛大臣は安倍総理と同様に保守系の議員で、安倍総理が後継者として期待していると思われている政治家である。

しかし稲田防衛大臣は、昨年の臨時国会で、終戦記念日に開かれた政府主催の全国戦没者追悼式を欠席したことを「言行不一致」だと追及され、言葉を詰まらせ涙ぐむなどひ弱さも目立ち、野党追及のターゲットにされている大臣でもある。

今年2月の衆議院予算委員会では、南スーダンPKOに当たる陸上自衛隊が現地情勢を伝える日報で「戦闘」という表現が複数回使われていた問題をめぐり野党の追及を受け「法的な意味で戦闘行為はなかった」という苦しい答弁を繰り返し、集中砲火を浴びたことは記憶に新しいところ。

森友学園問題でも、稲田防衛大臣の夫が籠池理事長の顧問弁護士であったこともあり、その関係について野党から厳しい追及を受けている。

そうしたなか、国会での「10年は会ったことがない」という答弁に対して籠池理事長から「10年前にしか会っていませんと仰ってましたけど、そんなことないですよね。2年ほど前にお会いしたことがあるんじゃないかと僕は思います。ある特定の会合の中で」と反論を受け、野党やマスコミからの厳しい追及に晒される羽目になった。

森友学園問題は、安倍総理自身に関わる初めてのスキャンダルであるという点で、これまでの大臣の失言問題等とは次元が異なり、対応を間違うと政権の致命傷になりかねない問題である。

その中で、総理の秘蔵っ子であり追及に弱い稲田防衛大臣が、PKOと森友の2つの問題で野党とマスコミの標的になるということは、政権のリスクマネジメント上大きな問題となる。

南スーダンPKO撤収という唐突な決定をした背景には、稲田防衛大臣がPKO問題と森友学園問題の両方から追及を受けたらもたないという総理の判断があったと考えるべきだろう。つまり、南スーダンPKO撤収は稲田防衛大臣に対する「駆けつけ警護」だったということだ。

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