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企業は儲けてるのに、なぜ家計は寂しいのか? アベノミクスの誤算=斎藤満

非正規雇用シフトが生んだアベノミクスのひずみ

人口の減少、少子高齢化もありますが、この結果にはアベノミクスも深くかかわっています。

企業は日銀の異次元緩和と円安の下で輸出を伸ばし、収益を拡大させましたが、さらに政府は雇用の弾力化を進め、企業は賃金水準が低く、社会保険料負担もない非正規雇用にシフトすることで、人件費負担を低く抑えることができました。

財務省の「法人企業統計」によると、企業の人件費は2012年10-12月期の43兆円弱に対し、直近の四半期でも44兆円に留まっています。これがさらに企業の利益拡大に寄与しますが、人件費の抑制がそのまま家計消費の低迷につながっています

人件費の伸びがこの間3%に留まっていることが、家計消費の伸びを4%に押しとどめている大きな要因になっています。

年金世帯の消費は1.5%減と事態は悪化の一途

この傾向が足元でも続いています。消費環境はむしろさらに悪化したとも言えます。

冒頭に示したように、企業の利益が最高益を更新する一方で、ボーナスは増えず、12月の勤労者世帯の収入をみても、世帯主の収入は実質で0.8%減となっています。配偶者の助けがなければ、消費はさらに落ち込んだことになります。

12月の消費は全体で実質0.1%の減少ですが、勤労者世帯が0.5%減、年金世帯が1.5%減で、これら以外、つまり個人事業主世帯が増えて全体を支えたようです。それでも、10-12月期の家計消費は個人事業主の増加を入れても、実質で前期比1.2%減少となりました。純粋家計消費で見ればさらに弱い結果となっているはずです。

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