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バフェット流はもう時代遅れなのか? 一流の投資家が見誤った産業構造の変化=東条雅彦

仮想通貨には確かな「経済メリット」がある

通貨には3つの機能があります。

  1. 価値の交換・支払いの手段
  2. 価値の尺度(ものさし)
  3. 価値の蓄積・保存

私達が日常で使っている法定通貨は概ね上記の3つの機能を満たしています。

一方、仮想通貨は「(1)価値の交換・支払いの手段」については役割りを果たせそうですが、「(2)価値の尺度(ものさし)」と「(3)価値の蓄積・保存」については、うまく役割りを果たせない可能性が高い。

仮想通貨は1日で10%以上、値段が上がることもあれば下がることもあります。ものさしがこんなに大きく伸び縮みしていたので、価値の尺度にはならないし、価値の貯蓄・保存にも向いていません。

しかし、仮想通貨には法定通貨を上回る大きなメリットがあります。それはインターネット回線を通じて、ほぼフリーで価値の交換・支払いができる点です。

法定通貨で海外送金をする場合、国内の銀行と現地の銀行との間に、海外送金処理を行う「コルレス銀行」という機関が入ります。各銀行が手数料を徴収するため、海外送金をするのに、ネットバンク系で2000円、メガバンクで5000円ぐらいの手数料が生じます。

仮想通貨で海外送金した場合、中間搾取する銀行が介在しないため、コストは数百円以下に収まります。さらに、ものの数分で海外送金が完了します。

法定通貨を海外に送金した場合は1日から1週間程度の日数が必要です。仮想通貨を海外送金した場合、ものの数分で完了するので、実は海外送金という限定した目的で使用するのなら、価格変動もそれ程、大きな問題にはなりません。

さらに、将来的に仮想通貨のオプション取引等ができるようになると、価格変動のリスクを抑えることもできるでしょう。

仮想通貨をそのまま法定通貨の代替えに使おうとすると、使い物にならないという結論になりますが、海外送金のように、明らかに経済的なメリットがある部分についてはおそらく普及してくるはずと予想します。

仮想通貨の普及は銀行にとってはとても脅威になるはずです。もちろん、銀行側も自前で仮想通貨を作って対抗しようとしていますが、今までのように海外送金に関わる手数料で儲けることはできなくなるでしょう。

バフェットが鉄板とみなす銀行業も、長期的には不確実性が高くなったと私は認識しています。銀行業の本筋は「信用創造」になるので、根幹は崩れない。でも、その周辺の事業は仮想通貨によって破壊される可能性があります。

Next: 何が何でもバフェット流投資を貫くという選択肢も

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