fbpx

ついに調整入りの日米株式市場。「人民元の切り下げさえなければ」は誤りだ=ブーケ・ド・フルーレット 馬渕治好

根拠なき楽観の「罠」に嵌った日本株式市場

まだ押し目買いは危険な水準

日本株については、前号のメールマガジン(8/9付)では、米国株価の軟調展開を無視して日本株が上昇気味で推移しており、しかもそうした日米株価の乖離を正当化するような、日本国内の材料(経済面、企業収益面、政治面など)はない、と述べました。

一部の専門家が、4~6月期の日本の企業収益は2割以上伸びており、これは欧米と比べて高いから、欧米株が下落しても日本株は上昇してよい、といった「暴論」を語っています。

日本の前年4~6月期は、消費増税の影響で国内売上が落ち込んでいますので、その落ち込んだ時期と比べて日本の企業収益の前年比増益率が欧米を下回っていたら、それこそ驚異です

ところが、日本の株式市場は、目先はそうした根拠なき楽観が持続し、8/11(火)前場にはふわふわと20900円台に突入しました。しかし述べたように、米国株価の軟調さを無視して日本株が勝手に上がる、という動き自体に無理があったため、その無理が下向きに解消される(米国株価の低迷に日本株が下落する形で追いついていく)という形で、自律的に大幅反落に入ったと考えています。

日経平均株価 週足(SBI証券提供)

日経平均株価 週足(SBI証券提供)

つまり、日本株についても、無理矢理な日本株の浮つき加減が解消されるきっかけは、何でもよかったわけで、元切り下げがなかったとしても、いずれは日本株が今回と同様に大幅反落した、と解釈します。

以上からは、仮に中国元を巡る騒ぎや中国への種々の懸念が一巡したとしても、高PER解消のための米国株価の下落基調は続き、日米株価の乖離を正当化する材料を欠くなか、日本株も並行的に(あるいは時折は米国株価の下落以上のスピードで)下落を続けるでしょう(もちろん、短期的には多少の株価リバウンドはあるでしょうが)。

日経平均株価は、当メールマガジンで「ブル・トラップ」と表現していた、20800円超えを、6/23(火)~25(木)、7/21(火)、8/10(月)~8/11(火)と、3回形成しました。

いずれも20800円超えで、早く買わないともっと上がってしまうのではないか、と飛びついた買い手が、その後は株価反落という罠(トラップ)にかかっているわけです。もう押し目買いでよい、という投資家もいるようですが、まだ早すぎて、危険だと考えます。

Next: 「為替に手を付けるほど中国経済は危ない」市場心理の変化に注意を

1 2 3

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」

[月額1,620円(税込) 毎週日曜日(年末年始を除く)]
最新の世界経済・市場動向をさぐる「ブーケ・ド・フルーレット」(略称:Bdフルーレット)。この代表である馬渕治好が、めまぐるしく変化する世界の経済や市場の動きなどについて、高水準の分析を、わかりやすく解説します。馬渕が登場するTVや新聞・雑誌コラムなどと合わせて、当メールマガジンも是非ご覧ください。

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー