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ついに調整入りの日米株式市場。「人民元の切り下げさえなければ」は誤りだ=ブーケ・ド・フルーレット 馬渕治好

「為替に手を付けるほど中国経済は危ない」市場心理の変化に注意を

悪化する中国の実体経済

さて、肝心の中国ですが、足元は中国政府の強硬策で株価は比較的落ち着いています。しかし中国でビジネスを営む日米等の海外企業からは、中国での売り上げの軟調などが伝えられており、株価の上下にかかわらず、中国経済は悪化の道をたどっている、と考えるべきでしょう。

中国の経済対策・株価対策については、当メールマガジンでは、やはり何度も、「対策を打っているから大丈夫だ」との楽観論が、いずれ「こんなに経済対策を必死に打っているということは、中国経済はとても悪いということの表れではないか」「これでは、いくら対策が出ても、景気の悪化は止まらないかもしれない」という不安に化けるだろう、と述べてきました。

8/11(火)、8/12(水)の、2度の中国元の切り下げに対する市場の反応は、予測した通り、「こんな対策まで打つとは中国経済は危ない」という正当な見方が市場で広がってきた、と考えられます。

アメリカは米ドル高を容認できない

特に為替調整に手を付けたのは、極めて危険な策です(逆に言うと、為替に手を出さざるを得ないほど中国政府が追い詰められている、とも解釈できますが)。というのは、これも当メールマガジンで継続して述べている通り、米国が米ドル高について、神経をとがらせてきているからです。ここで米国が、中国元の切り下げを容認するとは思えません。いずれ何らかの強いけん制発言が出るものと見込まれます。

そうした形で、米中関係の緊張が為替絡みで生じたところへ、安倍首相の戦後70周年談話(8/14金公表予定)を巡って日中関係も悪化する、という事態が重なることが、政治面から世界株価に不安を与えるといった展開もありえます。

米ドル/円 5分足(SBI証券提供)

米ドル/円 5分足(SBI証券提供)

また、米国は、決して中国元だけに対して、米ドル高を容認しないわけではありません。もちろん、日本円に対しても、米ドル高は快く思わないはずです。本日(8/12水)は、中国元切り下げによる元安米ドル高で、対円でも米ドル高になってもよい、という根拠を欠いた考え方から、一時は円安米ドル高が125.29円まで進みましたが、さすがにそんな動きは米国が認めない(日本からも対米配慮がなされるかもしれない)と正しく気づいたのか、米ドルは対円で急速に反落しています。

当面は市場の調整が十分に進むまで、静観する姿勢がよいと考えています。

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馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』(2015年8月12日号外)より一部抜粋
※太字とチャート画像はMONEY VOICE編集部による

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最新の世界経済・市場動向をさぐる「ブーケ・ド・フルーレット」(略称:Bdフルーレット)。この代表である馬渕治好が、めまぐるしく変化する世界の経済や市場の動きなどについて、高水準の分析を、わかりやすく解説します。馬渕が登場するTVや新聞・雑誌コラムなどと合わせて、当メールマガジンも是非ご覧ください。

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