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鳥貴族、値上げで業績悪化へ。値上げ組の企業が軒並み苦戦、遠のく脱デフレ=斎藤満

企業が稼いでも、国民の賃金は上がらない

日銀も物価が上がらない要因として、「生産性効果」と「ネット通販」の影響に注目しています。しかし、これらは表面的、技術的な側面で、値上げがなかなか通らない要因の本質は、消費者の購買力低下にあります。

安倍政権になってからの5年間で、企業の経常利益は5割以上拡大しましたが、企業が支払った人件費はこの間5%強しか増えていません。つまり、この間、労働分配率(生産された付加価値のうち、労働者が賃金として受け取る割合)が大きく低下しました。

企業の論理としては、自身は賃金を抑えるなかでまわりの企業が賃上げして需要を増やしてくれるのがベストで、間違っても他社が賃金を抑える中で自社だけが賃金を引き上げてはならないと考えています。

結局、ほとんどの企業が利益を拡大しても人件費は抑制したまま、ということが何年も続いています。

人件費抑制のブーメラン

人件費が5年で5%強増えても、この間に雇用が増え、消費税が引き上げられた分だけ物価も上がっているので、1人当たりの実質賃金は税込みでも減っています

さらに、そこから健康保険料、介護保険料、国民年金保険など、社会保険料が毎年引き上げられ、可処分所得ではさらに減少しています。年金もマクロ・スライドで実質減少となります。

そればかりか、原油価格の上昇でガソリンや電気ガス料金が上がり、これが税金と同じように消費者の購買力を奪い、診療費などの医療費も上がっています。さらに昨今の天候不順で生鮮食料品の価格が高騰し、一段と購買力を奪う結果となりました。

このため、一般消費財に回せるお金がその分減少し、需要が減るとともに、家計は少しでも安いものを手に入れようとします。

つまり、企業が人件費を抑制し続けるあまり、消費需要が減退し、それだけ企業の価格引き上げが困難になったということで、企業のコスト削減策が自分で自分の首を絞める結果となっています

とはいえ、他社に先んじて賃金を引き上げれば、経営上大きな負担となるため、引き続き固定費抑制の姿勢は変わらないと見られます。

Next: はるか遠い物価目標。どうすれば高い商品でも売れるのか?

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