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利益6倍、株価8倍で話題の「東海カーボン」は買いか? 急騰銘柄の見つけ方=栫井駿介

会計のタイムラグにより、現在の利益は「行き過ぎ」

ニードルコークスや黒鉛電極の価格が読めない中で、一つ確実に言えることがあります。それは、会計的にはこの利益は本来の実力からすると「行き過ぎ」だということです。

黒鉛電極の価格上昇は、そもそも原料であるニードルコークス価格の上昇を転嫁するためのものです。つまり、売上高と同時にコストも上昇するはずなのです。

しかし、売上高が2倍になるにもかかわらず、売上原価は約5割しか上昇していません。よほどコスト上昇以上に価格を上げていなければ、売上原価も2倍に近づくはずです。

これは、会計的なタイムラグに起因します。製品が売れた時に、売上高は売価で計算しますが、その原価は直近の原料価格ではありません。以前に安く仕入れた原料が残っていますから、残っている原料の平均仕入れ価格(月別総平均)によって原価が決まります。

原料価格の上昇局面では、高い売価に対して安い原価となります。原料が入れ替わるサイクルは、会社に問い合わせたところ約2年とのことです。1年で半分入れ替わるということであり、原価の上昇率5割とほぼ一致します。わかりやすく例示すると、以下のようになります。

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(2期目に原料価格上昇し価格転嫁、3期目は横ばいと仮定)

上記の例で言えば、現在は2期目に相当します。つまり、現在は高い水準の利益が出ていますが、来期には原価が上昇し、価格が上がらなければ利益が減少することが明らかなのです。

もちろん、原料価格の上昇が続けば、利益も上昇を続けます。しかし、上記で指摘したように、需給はなかなか読めるものではありません。この上昇に賭けることは、ギャンブルと変わらないでしょう。

東海カーボンは安定した事業基盤があり、財務的にも健全です。それでも会計的には、来期減益になる可能性が高いと言えます。それを市場がどこまで織り込んでいるかわかりませんが、バリュー投資家としての出動は減益が明らかになってからでも遅くありません

市況銘柄に対する目のつけどころ

このような急騰銘柄に目をつけるにはどうしたら良いのでしょうか。

1つは事業のことをよく知っていることです。その業界に属していれば、原料価格の上昇などは多くの人に先んじて入手することができるでしょう。それを対象企業の財務に落とし込むことができれば、業績の変化を前もって予測することができます。

もう1つの方法は、業績が悪化し、投資家が見放した時に投資することです。東海カーボンも、2016年に赤字を計上し、株価は落ち込んでいました。同社は立ち直るために、コスト削減や構造改革に取り組みました。

そこでやってきたのが、現在の価格高騰です。増益の主な要因は市況によるものですが、コスト削減も少なからず影響しています。価格高騰がなくても、少なくとも利益の改善が期待できたのです。

市況銘柄は外部要因に左右されるため、業績が読みにくいことは確かです。しかし、供給している商品が世の中から必要とされ、会社が適切なものを提供している以上、一定の需要は発生し続けるでしょう。そんな中で、コスト削減を確実に行っていれば、市況の大幅な改善がなくとも利益は増やせますし、市況に乗れば大幅な増益が期待できます

大事なのは、市況が落ち込んでいる中でいい会社を選び、会社の力を信じて持ち続けることです。正しいことをやっていれば、いずれ追い風が吹くものです。いつになるかはわかりませんが、その時は大きなリターンをもたらしてくれるでしょう。


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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2018年7月31日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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