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利益6倍、株価8倍で話題の「東海カーボン」は買いか? 急騰銘柄の見つけ方=栫井駿介

2年で株価8倍の東海カーボン<5301>は、現在でもPERは6倍台とかなり割安に見えます。見るべきポイントはどこでしょうか? 急騰銘柄の見つけ方と合わせて解説します。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

需給を読むのは難しい。市況銘柄に対する目のつけどころは?

1期だけで売上高2倍、営業利益5.7倍へ改善

東海カーボン<5301>は、製鉄の電炉に使用する「黒鉛電極」と、自動車タイヤの強度を上げる目的などに使用される「カーボンブラック」を中心に製造する会社です。売上高の6割はゴム・鉄鋼業界向けとなります。

株式市場では目下大きな注目を集める銘柄です。2018年12月期は、売上高が約2倍の2,040億円、営業利益が5.7倍の657億円に伸びると見通されているからです。期中にもすでに2回の上方修正を行っています。株価は2年で約8倍になりました。

東海カーボン<5301> 日足(SBI証券提供)

東海カーボン<5301> 日足(SBI証券提供)

業績好調で株価が上昇するのはもちろんですが、上昇後の株価を見てもPER6.4倍と低い数値となっています。同じ業績が継続するなら、圧倒的に割安と言える水準です。自己資本比率は約70%と、財務的にも全く心配する必要はありません。

しかし、東証一部で何の意味もなくこれだけ割安に放置されることはほとんどありません。まずは、業績向上の詳細を分析する必要があります。

中国の電炉建設急増と電気自動車需要で原料価格が急騰

売上高が1年で2倍になるというのは、よほど若い企業か、大きな買収を行った会社でないとなかなかお目にかかれません。しかし、東海カーボンは設立100年にもなる老舗であり、企業体を変化させる程の大きな買収も行っていません。

最大の要因は、主力商品である黒鉛電極の値上げです。昨年10月に、原料価格の高騰を背景に価格を3倍に引き上げました。その他の製品も軒並み値上げし、結果として売上高が2倍になったのです。販売数が劇的に増えたわけではありません。
※参考:国内向け黒鉛電極の価格改定に関するお知らせ(プレスリリース)

黒鉛電極の原料は「ニードルコークス」という石炭です。これを供給できる会社は世界でフィリップス66や三菱ケミカルなど世界で数社しかなく、供給量は極端に限られています。

一方で、需要は急速に拡大しています。要因は大きく2つあります。1つは中国における電炉建設の急増、もう1つは電気自動車のリチウムイオン電池材料(負極材)としての需要拡大です。

中国における需要は非常に極端なものです。2012~2016年にかけては、過剰生産能力削減のために電炉の需要も急減しました。その煽りを受けて東海カーボンも2016年に79億円の最終赤字を記録しています。

しかし、2017年に入り中国が環境重視路線にかじを切り、環境負荷が少ないとされる電炉の需要が突然高まりました。主要部材である黒鉛電極の需要が高まり、その原料のニードルコークスの価格も急騰したのです。

さらに、電気自動車の生産増加もニードルコークスの需給逼迫に拍車をかけました。東海カーボンや同業の各社は、原料価格を転嫁するために大幅な値上げを実施したのです。その結果、業績は急拡大、それに伴い株価も急上昇しました。

需給を読むのは容易ではない

この業績の急拡大を事前に察知できるに越したことはありませんが、よほど詳細に見ていないとなかなか気づけるものではありません。長期投資家としては、これから先の見通しを考えなければなりません。

電気自動車における需要拡大は構造的な問題と言えるため、需給を圧迫し続ける可能性があります。ただし、電池の負極材は代替品もあり、価格が高ければそちらに移行する可能性があります。

中国での電炉需要は政策ひとつであり、先の展開を読むことは難しいでしょう。過剰生産や景気停滞により鉄鋼需要が減れば、電炉そのものの建設も鈍るでしょう。

このように、需給を読むことは容易ではありません。急激に価格が上昇した今は、後になって見れば「バブル」だった能性もあります。このリスクがあるからこそ、PERが低い水準で抑えられているのでしょう。

Next: 現在の利益は「行き過ぎ」。急騰銘柄に目をつけるにはどうしたら良い?

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