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安倍首相に教えたい「実質賃金プラス」でも豊かさを実感できない理由3つ

9月4日、モノの値上がりや増税などの悪影響も含め、私たちのお給料の本当の価値をあらわす「実質賃金」(7月速報値)が2年3ヶ月ぶりに増加したことが、NHKなど主要メディアで大きく報じられました。にもかかわらず、賃金アップの実感がないのはどうして?隠された3つの理由がありました。

庶民を直撃!賃金アップを実感できない3つの理由

【理由1】 6月分と合わせ大幅減となったボーナス

実質賃金は2年以上にわたって減少していましたが、厚労省の『毎月勤労統計』によると、7月の実質賃金(速報値)は前年比0.3%増と、ようやくプラスに転じました。

名目の現金給与総額はボーナス込で0.6%の増加に留まったのですが、エネルギー価格の下落によって物価が0.3%の上昇に留まったためです。

しかしこの数字に喜んでばかりはいられません。少なくとも3つの不安材料が潜んでいます。それだけ個人消費の反発期待が削がれます。

その1つが、「ボーナスはどこへ行った」という問題です。6月のボーナスが大きく減少した時に、当局は支給事業所割合の低下のせいで、これは7月以降に後ずれしたとの見方を示しました。

しかし、今回の数字で、7月のボーナスは0.3%の増加に過ぎず、6月と合わせると大幅減です。ボーナス商戦に期待したところも空振りとなりました。

【理由2】 中小企業が蚊帳の外となったベースアップ

第2は、大企業はベアを実施できても、中小企業にはその余裕がなかったことです。

ベアが反映される「所定内給与」の伸びは、30人以上の事業規模では、金融保険、電力ガス、医療関係を中心に1.0%増となりましたが、中小企業も含めた5人以上の事業規模では0.6%に留まります。

つまり、中小企業単独ではほとんどベアがなかったことになります。

【理由3】 クルマを持たない世帯を直撃した生鮮食品の値上がり

そして3つ目が物価です。名目賃金が0.6%の増加でも物価上昇分が0.3%に低下したことで実質賃金はプラスになりましたが、ガソリンなどエネルギー価格が0.8%以上物価を押し下げています。

このため、車を持たずガソリン価格の下落が関係ない世帯にとっては、物価は1%位上昇しています。東大の日次物価も7月、8月は1%位上昇しています。

そして8月末から9月初めにかけて、この東大の日次物価指数は前年比1.5%もの上昇になっています。生鮮野菜など食料品価格の上昇によります。

家計の主婦の目から見ると、名目0.6%の賃金上昇では物価上昇をカバーできず、実質賃金はマイナスと感じます。特に中小企業に勤める世帯ではそのマイナス分が大きくなります

夏場の消費はエアコンや中国の爆買い以外はぱっとしません。特に自動車の不振が目立ちます。夏場から消費の反発を期待した政府にとっては失望を買う数字となりました。

これで輸出が増えないと、7-9月期のGDPもゼロ成長かマイナスに落ち込む懸念があります。そこに円高が重なると企業収益は減少し、株の割高感が強まります。株価の調整はそれだけ大きくなります。

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マンさんの経済あらかると』(2015年9月4日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

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