何も知らない一般投資家たち
米の主流メディアのほとんどが、米国に「運命の日」が迫っていることを告げているにも関わらず、一般投資家は今日も株式市場のテクニカル分析に血道を上げています。
主流メディアの報道を信じている米国の一般的な市民は3割にも満たず、トランプ支持者に至っては1割しかいないのです。
それでも彼らは、今でも自分に都合のいいように解釈してしまうのです。「どうせメディアの言うことだ。今度も大嘘に決まっているさ」と。
バンカーとテクノロジーのエグゼクティブは、社会の崩壊を覚悟している
Bloomberg(9月5日付)は、そうした読者を揶揄するかのように、シリコンバレーのDOOMSパーティーをイラスト入りで面白おかしく取り上げています。
同記事のイラストに描かれているように、シリコンバレーの億万長者の間では、「米国終焉のシナリオ」を酒の肴にして高級ワインを飲むのが流行っているのです。
彼らは、ビジネス、居住にもっとも適している米国の西海岸を捨てて、南半球のニュージーランドに脱出する計画を話し合っているのです。もはや、それはシリコンバレーの技術エリートの間でもっとも人気のある人生プラン「B」となっているのです。
もともとシリコン・バレーの中には、黙示録的なシナリオを信じており、その準備に膨大な時間と労力、そしてコストをかけることを厭わない若手IT長者が多数いることが知られています。
米国の高級誌ニューヨーカー(2017年1月30日版)は、米国最大の巨大掲示板レディット(Reddit)のCEOであるスティーブ・ハフマン自身を含め、シリコン・バレーで成功した彼のエリートの友人のうち、半分以上が「最後の審判の日」のために準備を怠っていないと伝えています。
ハイテク関連の有名投資家、ジャスティン・カンは、ヘッジファンドの友人からもらった電話…「万が一のときの逃げ場所として、われわれはニュージーランドの土地を買っておくべきだ」という助言に沿って準備を進めています。
Facebookの前プロダクト・マネージャーであるアントニオ・ガルシア・マルティネスは、すでに米国の太平洋岸り北西部にある島を丸ごと購入して、快適な秘密基地をつくっています。
もちろん、用意周到なPaypal創設者のピーター・ティールは、とっくに資産の一部をニュージーランドに移しています。
西海岸を襲うのは、自然災害ではなく「経済崩壊」
かれこれ5年ほど前にも、「豪邸を投げ売りするハリウッド・セレブが後を絶たない」と報じられたことがありました。
このときは、「西海岸に巨大地震が迫っている」と警告するオレゴン州立大学による研究報告などをはじめ、多くのメディアが西海岸を大津波が襲う確率が高まっている、と報じていました。
また、ペンタゴンが地方警察の重武装化を進めており、ロシア海軍が西海岸の地震を警戒している、といった玉石混交の情報が飛び交う中、西海岸以外の米国市民まで不安に陥れたのです。
シリコンバレーのIT長者たちがワインを傾けながら議論に集中しているのは、サンアンドレアス断層の地震、核戦争、パンデミックというよりは、米国政府の特殊な構造が生み出す「大規模な崩壊」です。
それは自然災害ではなく、米国の新政権が今度こそ経済を破壊するであろうという、彼らなりの読みに基づいているのです。
大統領選が行われた2016年11月8日から9日の夜にかけて、カナダ移民局のウェブサイトがダウンしたことは、日本のテレビでも報じられました。
(※詳細は当メルマガ第193号パート1~2「トランプ政権で加速!「世界の破滅」から逃げるシリコンバレーのIT長者たち」を参照)
プラン「B」は西海岸の成功者たちだけでなく、東海岸の多くの銀行家も同じような懸念を抱いており、彼らもまた「緊急時対応計画」も策定中です。